第22回東京フィルメックスの開会式が本日10月30日に東京・有楽町朝日ホールで開催。あわせてオープニング作品「
舞台挨拶には古川、玄理、渋川、甲斐、占部、河井、濱口が登壇。濱口が「フィルメックスで1番最初にかけていただいた自分の作品は2008年の『PASSION』。13年経って、オープニング作品として自分の作品を上映していただけることをうれしく思っています」と話すと、同作品に出演していた渋川は「あえて濱ちゃんと呼ばせていただきます。濱ちゃんがまったく変わっていないので本当にうれしいです」と喜ぶ。
本作に参加するにあたり印象に残ったことを尋ねられた古川は「リハーサルは強く印象に残っています。ワークショップの中で言葉やジェスチャーを使わず無言で相手と会話するというものがあったんですが、不思議と会話になっていてすごく不思議な体験でした。監督の作品は言葉が美しいですが、同じぐらい肌感覚で伝わるものを大切にしているんだなと思いました」と振り返った。
玄理は「仮にほかの作品で長回しを演じる場合、お客さんが退屈しないように、ここを引き立てようとか考えるんです。でも、濱口監督はそういうことは望んでいないと思うんです。ただしゃべって、リアクションを返す。工夫しないことを工夫しました」と述懐。「今までやったことのない役でした」と述べる甲斐は「僕の中にないものを求められている気がしていたんです。でも、自分の中にもどうしても嫌なやつの部分があって、やっていくうちにそういうものを発見する。それが役作りにつながりました」と回想した。
「PASSION」にも参加していた渋川、占部、河井。渋川は「『PASSION』のときにすごく驚いたのは、全員初対面なのに濱ちゃんが『じゃあ、1曲お願いします』って言い出して。何言ってんのかな?って思ったんです。監督自ら最初に歌って、それがスピッツだったんですけど」と笑い、「今回もまた変なことするんだろうなって思ってたんです。案の定、初日に全部のシーンを撮影して、次の日も最初から撮って。濱ちゃんさすがだなって思いました」と口にする。占部が「今回は歌わなかったんですが、四股は踏みました(笑)」と明かすと、河井は「四股を踏むってなんじゃそりゃ?と思ったんですが、毎朝四股から始まると、すっと撮影に入れる。これにも何か意味があるんじゃないかなと思っていました」とコメント。これを受けた濱口は「当時、友達から『四股はいいよ! 腰ができてくるんだよ』と言われまして、そうですか!っていうことでやってみたんです。どのような意味があったのかは、僕もわかってないですけど、楽しかったです」と笑みをこぼした。
イベント終盤には本作を短編集にした理由を濱口が明かした。「いろいろ理由はあるんですが、基本的に自分が仕事をしたい役者さんたちと自由にお仕事ができる場が欲しかったんです。長編映画だと自由に時間を使うことは難しい。だからじっくり向き合えるよう短編集を作りました」と言及し、「この映画は自分の作品の中では1番軽やかで、風通しのいい作品になっていると思います。脚本を書いているときは、大丈夫かな?と意味もわからず書いていたテキストもありましたが、役者さんたちの演技を見て、こういうことなのかと思いました」と語る。
最後に濱口は「一生懸命生きている人って、多少滑稽。『PASSION』のときも大爆笑が起きたんです。出演者の岡本竜汰さんが『あんなに一生懸命やったのになんでこんなに笑われるの?』と舞台袖で言っていました。一生懸命やったからなんです。そういうものをお客さんに受け取っていただきたいなと思っています」と呼びかけ、「役者さんたちと過ごした時間は宝だと思っています。カメラの後ろで自分が素晴らしいと思っていたものを皆さんにご覧いただける。『偶然と想像』は役者を観る映画だと思っています。楽しんでいただければ」とアピールした。
なお、舞台挨拶の前に行われた開幕式にはコンペティションの国際審査員である
「偶然と想像」は12月17日に東京のBunkamuraル・シネマほか全国で公開。第22回東京フィルメックスは11月7日まで有楽町朝日ホールほかで行われる。
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