“ハーフ”と呼ばれる青年の友情描く「WHOLE」予告到着、監督のコメントも

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WHOLE/ホール」の通常版予告編と英語字幕付き予告編がYouTubeで公開。新たな場面写真、監督の川添ビイラルのコメントも到着した。

「WHOLE/ホール」新場面写真 

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本作は“ハーフ”と呼ばれる2人の青年、春樹と誠が出会い、葛藤を抱えながら友情を築いていくさまを描く物語。海外の大学を辞め生まれ故郷の日本にやってきた春樹をサンディー海、母親と2人で暮らす建設作業員の誠を川添ビイラルの弟・川添ウスマンが演じ、伊吹葵菊池明明尾崎紅中山佳祐松田顕生もキャストに名を連ねた。

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日本人の母とパキスタン人の父のもと、日本で生まれ育ったという川添ビイラルは「日本では様々なメディアに映し出されている美化されたハーフのステレオタイプが、強く日本社会に根付いている気がしていました。本作では、テレビなどで見る方々だけではなく、どこにでもいるようなハーフとして生きる人を描きたいと思いました」とつづり、「元々は『半分/ハーフ』というタイトルでしたが、“ハーフ”だと、この映画を通して伝えたいことを反映できていない気がしました。『貴方のバッググラウンドやアイデンティティーが他の人と違っても、貴方はホール、一人の人間です』という意味を込めました」と思いを語った。

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本作を鑑賞した「誰も知らない」の撮影監督・山崎裕は「一部ではちやほやされるハーフと言われる方たち、異質なものを受け入れることが実は苦手な日本の土壌では、彼らは決して生き易くはないのだろう。ダイバシティの本来の意味『多様性と包含』について考えさせられる」と述べ、「海辺の彼女たち」の監督・藤元明緒は「あなたが私をどう視ているのか。私があなたをどう感じているのか。幾つもの眼差しが絡んだ世界で、生きる事に疲れてしまった心を救ってくれる映画」とコメントしている。

第14回大阪アジアン映画祭でJAPAN CUTS Award / スペシャル・メンションを受賞した「WHOLE/ホール」は、10月15日より東京・アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開。

川添ビイラル コメント

私は、日本人の母とパキスタン人の父の元、日本で生まれ育ち、日本では様々なメディアに映し出されている美化されたハーフのステレオタイプが、強く日本社会に根付いている気がしていました。本作では、テレビなどで見る方々だけではなく、どこにでもいるようなハーフとして生きる人を描きたいと思いました。
元々は「半分/ハーフ」というタイトルでしたが、“ハーフ”だと、この映画を通して伝えたいことを反映できていない気がしました。「貴方のバッググラウンドやアイデンティティーが他の人と違っても、貴方はホール、一人の人間です」という意味を込めました。
ニューヨークの映画祭で上映された際は、様々なバッグラウンドの方から、アイデンティティーに関連する葛藤や自分達の経験を共有していただきました。この作品は、ハーフというトピックを超えて、多様性や包含について伝わるものがあると認識でき、とても嬉しかったです。
これから益々多様化していく日本社会で、必要な作品だと思っています。兄弟で作った「WHOLE/ホール」を是非劇場でご覧ください。

山崎裕(撮影監督)

一部ではちやほやされるハーフと言われる方たち、異質なものを受け入れることが実は苦手な日本の土壌では、彼らは決して生き易くはないのだろう。
ダイバシティの本来の意味「多様性と包含」について考えさせられる。

藤元明緒(映画作家)

あなたが私をどう視ているのか。
私があなたをどう感じているのか。
幾つもの眼差しが絡んだ世界で、
生きる事に疲れてしまった心を救ってくれる映画。

暉峻創三(映画評論家/大阪アジアン映画祭プログラムディレクター)

中心人物二人だけでなく、小さな役柄も含めてすべての登場人物が魅惑的に光り輝き、生きている。映画監督の才能とは、つまるところ人間を見つめ、人間を描く才能にほかならないのだと確信させる、大器の風格溢れる傑作。

カズ・ワタナベ(「JAPAN CUTS」プログラムディレクター)

「WHOLE/ホール」は、日本のミックスルーツの方々のアイデンティティというデリケートな問題に、見事な洞察力と芸術性をもって取り組んだ、正直で、心温まる人間ドラマで、とても感動しました。川添ビイラル・ウスマンの兄弟は、今後も目が離せない恐るべき映画界の才能であることを証明してくれました。

マヤ・コルベッカ(映画評論家 / 作家)

ミックスのアイデンティティーの過度な理論化から脱却し、二元性や不完全さについての個人的な見解に目を向けています。「WHOLE/ホール」ほど正直で感動できる映画はめったにありません。

ファスベンダー・イザベル(同志社女子大学助教)

多層なアイデンティティのあり方や人間関係、世界への眼差しを描くこの傑作は、とても大切な問いを突きつけている。エスニシティや国籍、貧富の差が複雑に絡み合うその描き方は面白く、深く思考を刺激する。登場人物、そしてそれを演じる俳優たちの誠実で魂のこもった、人間らしいあり方は、カテゴリー化に基づく安易な「理解」を寄せつけない。何よりも、紋切り型の「正解」や「真実」を提示するのではない。

戸田義久(撮影監督)

社会によって生み出されてしまった欠如を共に抱えながら、でも他人と自分は違うと少しずつ知りながら、心を託せる他者を探す春樹と誠。贈る事と受け取る事を反芻していく二人。人が人に踏み出そうとする時に微かに生まれるさざ波を、耳を澄ませながら掬い取った美しい映画です。

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