日活ロマンポルノ50周年記念プロジェクトとして特集上映「私たちの好きなロマンポルノ」が、11月20日より東京・シネマヴェーラ渋谷ほか全国で順次開催される。
日活が1971年に打ち出した成人映画のレーベル・日活ロマンポルノ。「10分に1回絡みのシーンを作る」「上映時間は70分程度」など一定のルールを守れば比較的自由に映画を作ることができたため、多くの監督たちが新しい映画作りと性の表現を模索した。製作が終了した1988年までの17年間で1100本以上の映画が誕生し、現在も国内外で高く評価されている。
特集では映画監督・俳優・作家・ミュージシャン・映画祭ディレクターなど国内外を問わず54名の有識者が推薦する36本がラインナップに。またスウェーデンで長期ロケを敢行した日活スウェーデン・ポルノの2作品も蔵出し上映。ともにスウェーデンのキャストが出演した
上映機会の少ない1980年以降の作品も多く並んでおり、シネマヴェーラ渋谷の支配人を務める内藤由美子は「『“ポルノ”に抵抗がある人』、『巨匠作品は一応観ているが他は…』という人たちにこの特集を捧げる。世界的傑作に肩を並べる作品はもちろん、いま最も熱心にロマンポルノを観ている女性たちのセレクションを通じて、ニュー・クラシックやシュールでアナーキーな作品を発見して欲しい」と期待を込めて語った。
上映作品と選者は下記にまとめて掲載。
私たちの好きなロマンポルノ
2021年11月20日(土)~ 東京都 シネマヴェーラ渋谷ほか
上映作品
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「ベッド・パートナー」
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「絶頂姉妹 堕ちる」
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「レイプハンター 通り魔」
「バックが大好き!」
「制服肉奴隷」
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「女教師は二度犯される」
「女教師 汚れた噂」
「のけぞる女」
「愛欲の日々 エクスタシー」
「性愛占星術 SEX味くらべ」
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「未亡人下宿 初のり」
「少女暴行事件 赤い靴」
「淫獣の宿」
「蜜のしたたり」
選者一覧(54名)
柄本佑「未亡人下宿 初のり」推薦コメント
僕の中では青春映画の金字塔として君臨する「未亡人下宿 初のり」!
上映が決まり、自分が山本晋也監督フリークだった時期に伊地智啓さんと未亡人下宿の話で盛り上がった時「山本晋也は天才だよなっ」とおっしゃられていた事を思い出します。実は劇場で観るのは初めて、、、誰よりも楽しみにしているのは私です。シネマヴェーラに感謝です!ありがとうございます!
上條葉月「(秘)色情めす市場」推薦コメント
画面全体に充満する性への執着と生命力の乾いた熱気。太陽に晒された白昼の路地には惨めさも美しさもなく、すべてを拒絶する芹明香が一人立つ。むき出しの人間そのものの肯定に何度でも圧倒される。
草野なつか「天使のはらわた 赤い教室」推薦コメント
鑑賞後しばらく立ち上がれなかったことをよく憶えている。ひたすら鋭利で暴力的なのに、妙な軽やかさがざらりと残る。視ることしか出来ない男は<こっち>へ行く勇気もなく女はただ生きていく。生きるためだけに得た強さがあまりにも哀しく美しい。名美の瞳に宿った光だけが唯一の圧倒的な救い。私にとって大切な一本です。
クレモン・ロジェ「ズーム・イン 暴行団地」推薦コメント
ほぼ実験映画であり、ジャッロに影響を受けながら、物語ではなく視覚的構造に全てを賭けている。殺人者のアイデンティティーはもはや問題ではない。軋む革、工具の突き刺さった裸体、画面に侵入する炎。この抽象的傑作は苦悩と喜びの関係を描写すべく現実を歪めている。
佐々木敦「母娘監禁 牝(めす)」推薦コメント
「母娘監禁・牝」をはじめて観たときの驚きとときめきは今も忘れられない。
少女の自殺。ひこうき雲。薄暗い部屋。そして冷蔵庫。前川麻子の儚くも凛とした存在感は奇跡的とさえ言っていい。ロマンポルノに留まらず、私の生涯ベスト映画の一本です。
ジム・オルーク「愛欲の罠」推薦コメント
まるでヘビが自分の尻尾を噛むように、愛欲の罠がそれ自体を包み込んで蛇皮に変えて、人生を絞り出すまでその皮膚を脱がせ続けるのだ。
城定秀夫「狂った果実」推薦コメント
自分が映画監督になりたいと思ったきっかけはロマンポルノとの出会いであり、その中で一番好きな監督が根岸吉太郎監督です。煙草の煙に包まれた場末の名画座で「狂った果実」を観たときの衝撃は忘れられません。
ディミトリ・イアンニ「生贄夫人」推薦コメント
この映画には”小沼美学”の極みがある。日本家屋において背徳と道徳がきしみ合い、窓の外の眩い緑が目を射る。森勝によって撮られたこの映画は、加藤泰の「陰獣」とならんでフジフィルムによるもっとも美しい達成だ。
中原昌也「悶絶!!どんでん返し」推薦コメント
映画よりも現実の方がよっぽど場当たりだ!という怒りが爆発の連続。ここまで緻密にいい加減な作品を他に知らない。神代の代表作と決して断言できないところがお気に入り
真魚八重子「愛に濡れたわたし」推薦コメント
とことん女に翻弄されるという遊戯がしたい男性にとって究極の理想。女にとってもこんな奇行に付き合ってくれる男性ほど信頼できる存在はない。この愛は確かで深い。
渡辺大知「ラブホテル」コメント
エキセントリックな画面構成に興奮しました。その中で登場人物たちは切なく湿っぽく輝き、泥臭くも劇的な物語が展開されていきます。肉体を越えた人と人との縁の物語だと思います。
内藤由美子 コメント
日活ロマンポルノ誕生から半世紀経った今、映画好きにロマンポルノを観てもらうきっかけになればと、作家、音楽家、若手監督、映画祭キュレーターなどからリクエストを募り、誰もが心の中に大事なロマンポルノ作品を持っていることに改めて意を強くした。「“ポルノ”に抵抗がある人」、「巨匠作品は一応観ているが他は…」という人たちにこの特集を捧げる。世界的傑作に肩を並べる作品はもちろん、いま最も熱心にロマンポルノを観ている女性たちのセレクションを通じて、ニュー・クラシックやシュールでアナーキーな作品を発見して欲しい。「こんな作品があったのか!?」という驚きを劇場で体験してください!
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