柄本佑が主演作「わたとな」を称賛「不倫をテーマにしてるのにさわやか」

「先生、私の隣に座っていただけませんか？」の公開直前トークイベントが9月1日に東京・ユーロライブで開催され、キャストの柄本佑と監督の堀江貴大が登壇した。

本作は、夫と自分の担当編集者の浮気現場を目撃してしまった妻が、“不倫”をテーマに新作マンガを描き始める物語。妻の佐和子を黒木華、夫の俊夫を柄本が演じた。

「もし自分が不倫をされた側だったら、僕は映画監督であり脚本も書いているので、不倫を題材に映画を撮って復讐をするのではないかと考え、そこから着想を得ました」と話す堀江。柄本は脚本を読んだ際の印象を「コメディあり、サスペンスあり、ミステリーあり、ラブストーリーもありと、観る人を選ばない、老若男女が楽しめる王道のエンタテインメントを作ろうとしているんだなと感じました」と振り返る。

また、柄本は「これは誉め言葉として捉えていただきたい！」と前置きしたうえで「監督は、まったく監督然としてらっしゃらないので、現場であまり目立たない匿名性のようなものがあったんです」と回想。「でも完成した作品を観たら本当に台本のままで、匿名性とは真逆の確信めいたものがあって、監督は意外と策士!?と感じました」と告白する。これを受けて堀江は「決して現場で隠れていたわけではないですよ」と笑いつつ「不倫する側にもされる側にも共感できて、どちらにもわかるところがあって愛せる部分があって、いろんな方に楽しんでもらえるようなキャラクターを作りたいと思っていました」と明かした。

「シリアスではなく喜劇のように見せたかった」という堀江の言葉通り、本作では妻のマンガに翻弄される俊夫がコミカルな部分を大きく担っている。この俊夫像について、柄本は「この作品、100％俊夫が悪いんです。自業自得ではあるんですが、監督からは、俊夫を完全なヒールではなく、記号的な人物ではない人間味のあるキャラクターにしたいという話がありました」と述懐。「今思えば、俊夫は明らかに不倫に向いていない男で、それが大事なんじゃないかと。これが不倫に向いていて、なんでもうまくこなせてしまう人物だったら完全に悪役になってしまう。要するに俊夫は正直者で『あれ……よくよく考えたら昨日のあれは不倫？』くらいの天然さがある」と続けて笑いを誘った。

最後に、堀江は「この映画は劇場で観ていただくように音も画も設計していったので、このご時世でありますがぜひ周りの方にお薦めしていただけるとうれしいです」とコメント。柄本は「不倫をテーマにしてるのにここまでさわやかでウェルメイドな作品はなかなかない。僕は非常に好きな作品です。本日観ていただいた皆さんは“共犯”ですから！（笑） ぜひ広めていただき、一緒に盛り上げていただけたらと思います」と観客に呼びかけた。

「先生、私の隣に座っていただけませんか？」は9月10日に東京・新宿ピカデリーほか全国で公開。