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本作は少年たちの瑞々しい初恋を描くラブストーリー。1985年の夏、北フランスの海辺の町を舞台に、16歳のアレックスと18歳のダヴィドの“6週間の青春”が映し出される。
原作「おれの墓で踊れ」と出会ったときのことを、オゾンは「いつか長編映画を監督する日が来たら、その第1作目はこの小説だと思った」と振り返る。一方のチェンバーズも1982年の出版以来、何度か制作会社に掛け合うほど映画化を望んでいたそうで「彼なら原作に忠実に、変更するにしても私の意図に沿わない変更ではなかろうと確信していたので、映画化を打診してきたときはうれしかった」とオゾンへ信頼を寄せていたことを明かす。
映画化にあたってはストーリー上に大きな改変はないものの、原作ではイギリスだった舞台がフランスになるなど、設定に変更が加えられた。チェンバーズは「初めて観たときは動揺しっぱなしだった」と率直に述べながらも、「2度目は自分の小説を映画化したものでなく、独立した映画作品として観ることができて非常に感動した。誇らしくもあったよ。フランソワが小説の真髄に沿ってくれたことがうれしかった。変更は小説を踏まえたものもあって、なんなら小説よりよくなっているものもあったほどだよ」と賛辞を贈った。
なお、チェンバーズが原作を執筆し始めた当時のイギリスでは同性愛はまだ違法だったそうで、彼は「主人公たちがゲイであることはことさら強調せず、慎重に書いたつもりだ。それでもこの小説は物議をかもした。この本を世に出した出版社は勇気があったね。出版後しばらくは、この小説を置かなかった図書館や学校もあったほどだ」と回想する。彼のもとには手紙やEメールでさまざまな世代から感想が寄せられたといい、「自分は同性愛者だと告白する内容もあった。ゲイはごく自然なもので、決して『問題』ではない。新しい語り口が功を奏したのだろう、オーストラリア在住の86歳の老人から『この小説を16歳のときに読みたかった。そうしたら人生が変わっていたかもしれない』という手紙をもらった。感動したよ」と言及した。
「Summer of 85」は8月20日より東京・新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、グランドシネマサンシャインほか全国で順次公開。
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オゾン監督作「Summer of 85」に原作者が感動、「誇らしくもあったよ」
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