ドキュメンタリー番組のディレクターとして「女子高生いじめ自殺事件」を取材する女性・由宇子が究極の選択を迫られるさまを描いた本作。これまで釜山国際映画祭、東京フィルメックス、ベルリン国際映画祭、台北映画祭、上海国際映画祭などに出品されている。瀧内が由宇子、
予告編にはテレビ局の方針と対立を繰り返しながらも、事件の真相に迫る由宇子の姿が。一方で、父の経営する学習塾を手伝う由宇子はドキュメンタリーディレクターの顔とは打って変わり、生徒に柔和な表情を見せる。そこで由宇子は萌(めい)という高校生と出会うが、「そして、すべてを狂わす」という不穏なテロップが挟まれたのち、父が起こした衝撃の事実や、萌の抱える秘密が浮き彫りになっていく。
このたび本作を鑑賞した著名人からコメントが到着。中国の映画監督
「由宇子の天秤」は9月17日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。
ジャ・ジャンクー(映画監督)コメント
「由宇子の天秤」は、第4回平遥国際映画祭において、多くの人々を驚かせ、観客賞を獲得した。
春本監督の映し出す世界は、全てが静かで穏やかである。
しかしそこにはある種の魔法の力が存在し、我々は無意識のうちに、
主人公の内なる世界の奥深くへと導かれ、衝撃を受ける。
そこで我々がバランスを保つことは困難だろう─。
行定勲(映画監督)コメント
ここ数年の中で、最もくらった日本映画だ。
正義とは、社会においての矛盾を解き明かすことか?
自分の大切なものを守りぬくことか?
自分の在り方を考えさせられ、後に尾を引く。
池松壮亮(俳優)コメント
無知や無関心を煽る社会システムと、暴徒化する知性と正義感との間に、
由宇子の心の天秤はゆれている。
倫理や道徳に揺さぶられながら、バランスを保とうと必死にゆれている。
細部まで心と魂のこもった
極めて非凡な作品に出会った。
安田菜津紀(NPO法人Dialogue for People副代表 / フォトジャーナリスト)コメント
「伝える」仕事に携わる自らを、深く省みずにはいられなかった。
自浄作用を失ったメディアには、最初から天秤の「軸」などないのかもしれない。
人の人生を「素材」として翻弄し、後は背を向けるだけならば。
瀬々敬久(映画監督)コメント
国家や社会がどうしようもない状況だと感じる毎日、実はそれを生み出しているのは私たち自身ではないのか。
そして、それを変えられるのも私たち自身なんじゃないのか。この映画に告げられた気がする。
俳優たちの存在が素晴らしい。それを導き、ともに斬りこんだスタッフの静かな熱量。頭がさがった。
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おおとも ひさし @tekuriha
瀧内公美主演「由宇子の天秤」をジャ・ジャンクーや行定勲が絶賛、予告編も公開 - https://t.co/YYLtxpB9W6