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本作は7年前に理不尽な交通事故で夫を亡くした女性・田中良子を主人公とした物語。時代に翻弄されながらも、子供へのあふれんばかりの愛を抱えて気丈に振る舞う良子と、いじめに遭いながらも母を気遣い屈辱を耐え過ごす息子・純平の姿が描かれる。尾野が良子、和田が純平、良子の同僚・ケイを片山が演じた。
石井は「今作るべき映画だと思った」と切り出し、「生きるのが大変だ、つらいとは誰もが言えること。その中で希望のようなものを見出すことが表現者としての仕事だと思う。少しでも前向きな作品になっているとしたら、尾野真千子さんの存在のおかげ。この人にしかできない役でした」と深く感謝する。
また尾野への印象について、和田は「正直に言うとお会いする前は、勝手なイメージで怖い人なのかなと。でも明るくて優しい方で、現場でも本当の親子のように接してくださったので、僕自身、肩の力を抜いて自然に演技できたんだと思います」と述べ、片山は「尾野さんが『ケイちゃんコーヒー飲む?』『お昼一緒に食べる?』と話しかけてくれて、その明るさに救われました。撮影中も『私は今すごくかっこいい先輩とお芝居してる』と何度も思っていました」と笑みをこぼした。
登壇者たちから賛辞を受けた尾野は「最近お芝居していて、役に入り込みすぎて抜け出せないことがあまりなくて。でも今回は途中でどん底に落ちてしまって、撮影中に『監督、時間ちょうだい』と久しぶりに言いました。私ここにいるんやと思えて、そんな自分がうれしかったです」と語るうちに、感極まって涙をこぼし始める。「なんで涙が!」と笑顔でごまかしつつ「40間近にして、自分を見つめ直す機会がうれしかった。大事な現場でした」と振り返った。
そして最後に尾野は「怒られるかもしれないですけど、コロナ関係なく言います。劇場で観てほしいんです。皆さん、手と手を取り合って観に来てほしい」と語りかけ、再び目から大粒の涙をあふれさせる。それでも前をしっかり見据えながら「こんな状況の中、私たちはもう仕事ができないかもしれないと恐怖に襲われて。でも今こういう作品を届けなければいけない、それが私たちの使命だと思って、スタッフも出演者も監督もみんな命懸けで作りました。こんな最高な作品はありません」と力強く続け、「コロナに負けるな! がんばろうね」と客席に向かってほほえんだ。
「茜色に焼かれる」は明日5月21日に全国で公開。
※「茜色に焼かれる」はR15+指定作品
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尾野真千子「茜色に焼かれる」公開前夜に大粒の涙、「命懸けで作りました」 - 映画ナタリー
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