ホン・サンスが脚本も手がけた本作は、
「逃げた女」は6月11日より、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次ロードショー。
吉岡里帆(女優)コメント
含みのある会話から、主人公の微細な心の変化を感じる。何気なさすぎる時間は余白を纏いこちら側に考える時間をくれる。
エンドロールが流れた瞬間、その不思議な世界観にどっぷりと引き込まれていた事に気付きました。
女性ならではの強さに共感し、同時に隠そうとしていた弱さにも対峙せざるを得ない時間。
満島真之介(俳優)コメント
山が見えた。鳥が泣いた。風が吹いた。
息をするだけでお腹が空くの…
リンゴの硬い皮を剥く音が、心の皮をも剥がしていく。
裸の心で、また息を吸う。ああ、お腹すいた。
わたしの逃げる場所は、あなたの逃げられなかった場所なのかもしれない。
小堺一機 コメント
語り部であるはずの主人公のガミの人生が、物語が進むにつれ段々とわからなくなって来る。再会した人々の人生がはっきりするにつれて、ラスト、ガミの観ている映画のシーンが「甘い生活」に重なった。観客は逃げられない。
行定勲(映画監督)コメント
まるで、久しぶりに友人に会った後のような感覚。この映画で交わされる会話を聞きながら、自分の人生の選択について考えさせられた。
それぞれの事情、それぞれの恋情を語る女たちに魅了されっぱなしだった。
大島葉子(女優)コメント
女は現状に満足しない「欲(よく)どしい」生き物だ。
ホン・サンスはズームの様に女の心の内を自然体で語らせる。一言も聞き逃せない。
「自分で髪を切ったの。」
そこにどんな意味が含まれてるのか…
私も最近キム・ミニみたいに髪を切った…
岨手由貴子(映画監督、脚本家)コメント
キム・ミニがまとう“人が本来持っている謎”みたいなもの。
それが立ちのぼるスリルに、何気なさを刻むズームに、高揚しっぱなしでした。
2度出てくる窓を開ける行為がとりわけ印象的で、主人公の“謎”に触れられたような気がします。
斎藤真理子(翻訳者)コメント
女性たちは話し込む。
話し込めば話し込むほど、
映画も、監督も、背景に取り残される。
なのに何かが妙に鮮明になってくる。
あれ、ホン・サンス、結晶してきた?
どこへ向かっていくのかわからないけれど、この結晶化はとても気になる。
古家正亨(ラジオDJ / MC)コメント
焼酎はワインに置き換えられた。口あたりは、確かに爽やかだ。
でも、孤独で行き場のないキム・ミニのその姿はホン・サンスの描く世界そのもの。
スクリーンは果なき航海を意味する海なのか。77分。短いが深い。
北村紗衣(フェミニズム批評、武蔵大学准教授)コメント
一見、何の変哲もない会話を撮っているだけに見えますが、実は女性が人生で直面する様々な問題にさりげなくも鋭く切り込んでいます。女同士の会話に男性が介入することで男女間の権力構造が浮かび上がる、ヴァージニア・ウルフ的韓国映画です。
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