田中晴菜の監督作「いきうつし」「ぬけがら」が6月26日から7月2日にかけて東京の池袋シネマ・ロサにて上映される。
新人監督特集 Vol. 7の一環として行われる今回の上映は、田中にとって初めての劇場特集。「いきうつし」では生人形師の男と、病に冒された少女が織りなす恋が描かれる。生人形師・亀八を「ケンとカズ」の
期間中には舞台挨拶を実施するほか、劇場ロビーでの衣装・小道具類の展示、監督・キャストによる撮り下ろしインタビューの公開などを予定。さらに田中の最新作「幸福な装置」の特報が、特集上映に合わせて劇場で初公開される。前売り券は税込1300円、一般当日券は1500円。チケット半券を提示すると、リピーター割引が適用され1300円で楽しめる。また
菱川勢一(映画監督、写真家、クリエイティブ・ディレクター / DRAWING AND MANUAL)コメント
谷崎潤一郎が「陰翳礼讃」で示したのが日本文化の中に潜む気配の芸術性だった。田中晴菜の作品を鑑賞して間もなく頭に浮かんだのがこの気配のことだった。沈黙や余白や黒というのを映像に取り入れた時に映画監督には恐れがある。時間軸を味方につけた表現で間を空けることはそこに流れる静寂によって観る人の心を惑わすことになるからだ。田中監督の作品の真骨頂はこの気配の表現にある。時に映像ではなく絵画に見えてくるのも時間というものとの折り合いの付け方に田中独自の芸術性を感じることができる。狂ったように隙間を埋めようとする情報過剰の現代に田中晴菜が余白を魅せてくれていることに素直に喜びたい。ふと手に取る詩集のような作品を今後も楽しみにしている。
篠原哲雄(映画監督)コメント
田中晴菜さんの映画には不思議な夢を見ているような心地良さがある。
「いきうつし」では人形師が作る自分の分身が生まれ変わって生きていくような錯覚を得て楽しい。俳優が何役も演じ分ける微妙な同義性を狙っている効果もあるだろう。不思議な美しさが漂うさまは「ぬけがら」でも一貫していて、自分の殻に閉じこもった女が脱皮して町を彷徨うさまが突然現在性を帯び、映画ならではの魔法にかかってしまうのだ。とりわけ二作に通じる女性たちの艶かしさは一体どこから生まれてくるのだろう。いきうつしが続いているかのようである。
坂井昌三(シナリオ・センター講師)コメント
「心地よく予想をくつがえす人」
田中晴菜監督を一言でいえば、私感ですが、ことごとく予想をくつがえす人だと思う。今なお僕の予想をくつがえし続けています。
映像に対する美意識とセリフのセンスが、他の人とはまるでちがう田中晴菜さんの異能ぶりを、僕がはじめて知ったのは、今回上映の「いきうつし」の映画ではありません。
そのもとになったシナリオが晴菜さんとの出会い。5年前、そのオリジナルシナリオはコンクールで奨励賞を受賞。あふれんばかりの美意識過剰なシナリオから、驚きというか、僕は、それこそ心地よい衝撃を受けたのです。
皆さんにも一言。「いきうつし」のオリジナルシナリオを読んで僕と心地よい驚きを享有してみませんか?
岡安賢一(伊参スタジオ映画祭実行委員長)コメント
田中晴菜監督は知っている。
人がとても儚いということを
人がとても矛盾しているということを
人がとても美しいということを
そして、
それを伝えるのは映画であるということを。
岡慶悟の映画作品
リンク
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池袋シネマ・ロサ新人監督特集で田中晴菜の「いきうつし」「ぬけがら」上映(写真15枚 / コメントあり / 動画あり)
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