双子にはある秘密が…日中韓合作「湖底の空」予告

日中韓の共同製作映画「湖底の空」の予告編がYouTubeで解禁された。

佐藤智也が監督と脚本を担当した本作は、日本人の父と韓国人の母を持つ一卵性双生児・海と空の物語。イ・テギョンが姉の空と、女性の体になるための性別適合手術を受けた海を1人2役で演じた。空と惹かれ合う男・望月に阿部力が扮したほか、みょんふぁ、武田裕光、アグネス・チャンもキャストに名を連ねる。

予告編には、双子が韓国・安東で過ごした子供時代や、成長して上海で暮らす様子などを収録。彼らがある秘密を抱えていることが暗示されるシーンも映し出される。

なお公開に先駆けて、本作を鑑賞した著名人からコメントが到着した。「呪怨」シリーズの監督として知られる清水崇は「人生の静と動が、光と闇で絵画のように紡がれていく」と、「リンダリンダリンダ」「聖の青春」などを手がけた脚本家の向井康介は「ラストカットは何度見ても色褪せない」とつづった。

「湖底の空」は6月12日より東京・K's cinemaほか全国で順次公開。本作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020でグランプリとシネガーアワードをダブル受賞した。

清水崇（映画監督）コメント

人生の静と動が、光と闇で絵画のように紡がれていく。
陰と陽、黒と白、海と空、男と女、父と母、心と体、そして生と死…
決して交わる事のない、それでいて互いが無いと成立し得ない、相反する様々なモチーフ。
性や国籍、言葉や環境…あらゆる境界を越えて、
佐藤監督の優しい眼差しと穏やかなタッチがその苦しみも悲しみも、なだめていってくれる。

向井康介（脚本家）コメント

“過誤”というもうひとりの自分から逃げ続ける女。寄辺を失ってもなお誰かを追いかけたい男。暗い影を背負った物語のはずが、最後は清々しい風が吹く。息苦しさの先に見える光。その通り抜けの良さが癖になる。ラストカットは何度見ても色褪せない。

川瀬陽太（俳優）コメント

自分は間違った選択の「成れの果て」なのでは、と思う時がある。おかした過ち、酷い言葉、目を逸らし何も行動出来なかった瞬間、、、そんなもので形作られていると。
自らを肯定できぬままアジアをたゆたっているふたりが傷だらけゆえ離れそれでも近づこうとする様を見ていて俺も同じだ、でも、だからこそ転びながら行くしかないんだよな、と気持ちがスッとした。

本田隆一（映画監督）コメント

佐藤監督の作品を初めて観たのは20年前。きめ細やかな演出の中に、突然ハッとさせられる瞬間があり、今でもハッキリと記憶に残っています。そしてその繊細でありながら、観る人の心に忘れられない衝撃を与える演出は「湖底の空」で完成の域に達していると感じました。

塩田時敏（映画評論家・ゆうばり国際ファンタスティック映画祭プログラマー）コメント

オープニングから見逃すなかれ。そこには、この映画のテーマや全てが、見事に映像で表現されている。佐藤智也監督はゆうばりの星だ。

モ・ウニョン（プチョン国際ファンタスティック映画祭プログラマー）コメント

安住の地を求めて彷徨う現代の若者たちと、それでも前を向くエネルギーと希望のメッセージ。
日本と韓国、中国を行き来しながら自分の中のもう一人を通して真の自分を探していく主人公の姿は、触れ合いが難しくなり一緒にいることの意味がより大切になってきた今、心に大きく響くでしょう。

工藤じゅんき（ラジオパーソナリティー）コメント

過去の傷が出会いを通して変化していく様子。美しい映像と繊細な心理描写で国と言葉の壁を軽々超えて心に届きました。