映像の冒頭には男が「もしもしばあちゃん、俺だけど」と電話をかけるシーンが。そして彼が“孫の将太”として艶子に温かく招き入れられる様子や、船に揺られる姿などが映し出される。
なおこのたび本作を鑑賞した
「のさりの島」は5月29日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。杉原亜実、中田茉奈実、宮本伊織、西野光、小倉綾乃、水上竜士、野呂圭介、外波山文明、吉澤健、柄本明もキャストに名を連ねる。
高橋惠子(女優)コメント
「もっと、もっとゆっくり歩いて!」「カミハテ商店」の現場での山本監督の声がよみがえる。
“のさりの島”を観て、これが山本さんの表現リズムなのだと改めて思う。
原知佐子さんの不思議な微笑みはそのリズムを確信的に体現していた。
高橋伴明(映画監督)コメント
サスペンス要素を多分に孕む映画であるはずなのに、山本起也というフィルターを透ると、汀に淡々と寄せては返す波に自らの来し方の自問自答を促されるような催眠術に陥るのは何故だろう。1月19日、原知佐子さんの御命日に。
阪本順治(映画監督)コメント
山本起也監督が、「ツヒノスミカ」を発表したのは2006年。ご自身の90歳の祖母を被写体としたドキュメンタリーだ。そのお祖母さまとこの作品のばあちゃんは重なってみえる。共通するのは、静かなたたずまいと迷いのない意志だ。
「のさりの島」を観始めてすぐ、ばあちゃんこと、原知佐子さんに心を持っていかれ、細やかなしぐさやことばの耳障り、それらすべてになにもかもを預けてみたい欲望にかられた。「のさり」の意味そのままに、こちらは身構えることもなく、受け入れてもらえるような安心感がそこはかとなく、まちがいなく。
以前の穏やかな日常をわすれてしまいそうないま、この「のさりの島」という土地をたずねれば、わたしたちのあしたに繋がる風景がきっとみつかるはず! 傑作!
中村高寛(映画監督)コメント
オーソドックスな映画だ。登場する人物たち、町とその歴史、それぞれの記憶と感情が丁寧に紡がれていく。
決して何かを声高に訴えることもなく、派手さも奇をてらうこともない。地方都市「天草」を舞台としながらも、いまの「日本」の姿を見つめようとしている。そしてその眼差しは限りなく優しい。
行定勲(映画監督)コメント
天草の海はいつも懐かしく、風は固くなった心を溶かしてくれる。
錆れゆく町に立ち止まって、ゆっくり人生を考えて、
もう一度、ちゃんと生きてみようと小さな希望を感じさせてくれる映画でした。
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オレオレ詐欺の男×お茶目な老女が共同生活、藤原季節主演「のさりの島」予告(コメントあり) https://t.co/1uTQgTKFP2