鈴木敏夫がアニメーター・大塚康生をTAAF2021授賞式で追悼、富野由悠季も登壇
2021年3月16日 12:37
1 映画ナタリー編集部
東京アニメアワードフェスティバル2021(TAAF2021)の授賞式が、東京・としま区民センターで3月15日に行われた。
アニメーション産業・文化の発展に大きく寄与した人物を顕彰するアニメ功労部門では、鈴木敏夫らが登壇。1978年創刊のアニメ雑誌アニメージュに携わり、スタジオジブリ全作品をプロデュースしてきた鈴木は「アニメの仕事に携わって40年以上も経っていたことを改めて実感した次第です」と感謝を伝える。また「これまでで一番お世話になったのは、大塚康生さん。たまたま今朝、彼が生涯を閉じられたと知り、今日この日がさらに印象深い日となりました。大塚さんには本当にお世話になりました。ご冥福をお祈りしたいと思います」と述べ、「ルパン三世」シリーズや「未来少年コナン」などで知られる大塚の死を悼んだ。
「機動戦士ガンダム」シリーズの生みの親である富野由悠季は「(会場のある)この場所は、48年前に日本のアニメファンが一堂に会した豊島公会堂の跡地です。アニメファンと制作者が交流するイベントは珍しかったのですが、会場には当時中学生であろうたくさんの女性客が詰めかけてくださいました。アニメの仕事は絵を描くだけではなく、こんなにもファンがいるんだということを教えてくれた。今の自分があるのも、あのときの彼女たちのおかげです」としみじみ語った。
この1年間に日本国内で上映・放映・配信された商業作品の中で、ファンやアニメーション業界に携わる人々が各賞を選ぶアニメ オブ ザ イヤー部門では、作品賞の劇場映画部門を「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が受賞。テレビ部門の作品賞に輝いた「映像研には手を出すな!」の監督・湯浅政明は、ビデオメッセージで「僕らアニメーションを生業とする者は、イメージが映像化されていくことに喜びを感じるんですが、一般の方にも喜んでいただける作品になり、こうやって賞もいただけるのはスタッフやキャストへの大きな評価だと思うので大変うれしいです」と喜びをあらわにする。「鬼滅の刃」シリーズを手がけ監督・演出部門の個人賞を受賞した外崎春雄からは、「これからもこの作品に恥じないように(主人公の)炭治郎のごとく努力・精進していきたいと思います」とコメントが届いた。
長編コンペティション部門では片渕須直が総評を発表。「アニメーションは複雑なことを1枚の絵で表現しなくてはなりません。だからこそ1つの表現、1つの絵だけでなく、その先にある何が描かれているのか、掘り下げて考えたくなるような期待の持てる作品が素晴らしいと思います」と語り、長編優秀賞を獲得したチリ・ブラジル合作「ナウエルと魔法の本」、グランプリに輝いたフランス・スペイン・ベルギー合作「ジョセップ」を絶賛した。
すべての受賞結果は以下の通り。
東京アニメアワードフェスティバル2021 受賞結果
アニメ功労部門
鈴木敏夫(プロデューサー)
さくらももこ(マンガ家・作家・脚本家)
小山高生(脚本家)
富野由悠季(監督)
才田俊次(アニメーター)
瀬山武司(編集)
伊集加代(スタジオシンガー)
羽佐間道夫(声優)
アニメ オブ ザ イヤー部門
作品賞
テレビ部門:「映像研には手を出すな!」
劇場映画部門:「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
個人賞
原作・脚本部門:吉田玲子
監督・演出部門:外崎春雄
アニメーター部門:松島晃
美術・色彩・映像部門:渡邊美希子
音響・パフォーマンス部門:梶浦由記
アニメファン賞
「アイドリッシュセブン Second BEAT!」
コンペティション部門
豊島区長賞:「ランマニア」
学生賞:「The Balloon Catcher」
長編アニメーション
グランプリ、東京都知事賞:「ジョセップ」
優秀賞:「ナウエルと魔法の本」
短編アニメーション
グランプリ、東京都知事賞:「棺」
優秀賞:「ショームの大冒険」
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