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本作では、ヤクザとして生きる道を選んだ青年・山本賢治と彼を取り巻く人々の姿が1999年、2005年、2019年という3つの時代にわたって描かれる。
河村は満員の会場を見回すと「シネコンさんで長く上映していただけると思ったんですが、某アニメ映画2作が劇場を占めていて、私ども邦画は追いやられた感があるんです(笑)。にもかかわらずこうやって多くの方が来てくださってありがたく思っています」と感謝を伝える。
タイトルはすぐに決まったのかと問われた藤井は「河村さんが『ヤクザと家族はどうか?』と。『新聞記者』のときと一緒で、最初はダサっ!と思いました(笑)。でも河村さんが大事にされていたタイトルでしたし、キャストの後押しもあったので決まりましたね」とコメント。河村は「みんなに大反対されて、孤立無縁だったんです。『ヤクザ』という言葉を使うと引かれてしまうと。でも私は『ヤクザ』という言葉がこの映画はなんなのかをはっきり表すと思っていました」と述べ、「孤立無援だったときに賛成してくれたのが監督。そして『これでいきましょう!』と支持してくれたのが綾野くんでした」と振り返った。
車が襲撃されるシーンに話題が及ぶと藤井は「突如起こる悲劇をどのように見せるか? カメラマンの今村(圭佑)と相談して、ワンカットに見えるよう1日掛けて撮影しました。泣くシーンでもう1回撮りたいなと思ったときに、剛さんが『いいよ!』って気持ちをぶらさず付き合ってくださって、すごいなと。自分の中でも大事なシーンの1つになりましたね」と思い入れたっぷりに語る。
藤井と3度目のタッグを組むなら、どんな作品を作りたいか尋ねられた河村は「秘密です」と笑い、「言いたいんですけどね。期待していてください。脚本開発中で、さっきまですぐそばのルノアールで打ち合わせしていました」と述懐。続いて、ラブコメを撮ってほしいという意見が飛び出すと藤井は「たぶん撮れませんね(笑)。ユーモアのセンスがないので勉強しないと。でも人生何が起こるかわからないですから、出会えるタイミングがあれば」と述べ、「剛さんはすごいですよ。今『恋はDeepに』やってますからね」と綾野をたたえた。
ここでサプライズゲストとして綾野がリモートで登場。綾野は「今日この場所、この作品を選んでくれた皆さまに感謝申し上げます」と真摯に伝え、「今、『ぜひ劇場で観てください』とどのように伝えていけばいいのか、すごく難しい状況になっています。どんな形であれ、皆さんにお会いしたいなと思いました。リモートでも、電話でもいいからやらせてほしい!と話をしまして、対応していただきました」とイベントへの参加を熱望し、実現に至った経緯を明かす。
綾野の助言があり当初藤井が考えていたものから、ラストシーンが変更となった本作。綾野は「俳優部がやりたいようにやりすぎると作品は破綻すると思うんです。脚本の中にある礎を考えるべき。今回は藤井監督に『次の世代にバトンを渡したいね』と相談して、それを受けた監督が考え抜いて、ああいう素晴らしいシーンになりました」と回想する。一方の藤井は「剛さんは謙遜されるけれど、俳優部の人生を撮ることが僕の仕事。たくさん相談できてよかったです」と笑みをこぼした。
綾野は「『新聞記者』もそうでしたし、『ヤクザと家族』もそうですけど、このチームが作っているものって映画正義を使って社会を正そう、メスを入れようというようなものではない。この作品ではヤクザの世界にも家族があるんだという事実を伝えているんです」と言い、「ある世界しか見えない人たちに対して、その世界が見えていることは間違っていないと寄り添う作品だと思っています。だから、そういうふうに受け取っていただけると幸いです」と観客に呼びかける。
最後に藤井は「今後、河村さん、剛さんと作る作品を楽しみにしていてほしいです。これからも皆さんの暮らしにプラスになるような映画を作り続けていきたいです」と、河村は「この映画はキャストの皆さんが情熱をかけ、私の手から離れていった印象です。途中から嫉妬して、取り戻せないかと思ったんですが(笑)、一人歩きしていきました。プロデューサーとしては一番うれしい。これからも応援よろしくお願いします」と口にし、イベントの幕を引いた。
「ヤクザと家族 The Family」は全国で上映中。
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