「東ベルリンから来た女」「未来を乗り換えた男」の
「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る」という宿命を背負った水の精ウンディーネの神話をモチーフに、現代の独ベルリンで数奇な運命に導かれていく男女の姿を描く本作。自らの切ない宿命に葛藤する歴史家ウンディーネを「ある画家の数奇な運命」の
黒沢は「これは驚いた。ドイツ製ダーク・ファンタジーだ。ベルリンの地縛霊が忽然とよみがえり、官能も恐怖も申し分なし。こんなのがあったんだ」と感嘆し、深田は「パウラ・ベーアの視線に導かれベルリンがミクロの街角からマクロの歴史へと展げられていく快感。しかし、そこにあるのはひとりの女性への呪いだった。呪いをかけたのは誰か。巨大な悲しみをこの映画は私たちへと投げかける」と感想をつづった。そのほかピアニストの
第70回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞した「水を抱く女」は、3月26日より東京・新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国で順次ロードショー。
黒沢清(映画監督)コメント
これは驚いた。ドイツ製ダーク・ファンタジーだ。
ベルリンの地縛霊が忽然とよみがえり、官能も恐怖も申し分なし。
こんなのがあったんだ。
清塚信也(ピアニスト)コメント
我々音楽家が数百年に渡り常に芸術作品にしてきたウンディーネの伝説をこんなに近くに感じられて、
本当に素晴らしい経験になりました。
この映画に関するウンディーネも、やはり物悲しく、切なく、そして神秘的で、芸術的価値のあるものでした。
時折流れるピアノの音も美しく、芯から流す涙を経験しました。
都市伝説好きな日本人にも、是非お勧めです。
池田理代子(劇画家・声楽家)コメント
チャイコフスキーに「ウンディーネ」を、ドヴォルザークに「ルサルカ」を作らせ、アンデルセンに「人魚姫」を書かせた、魅惑に満ちた「水の精」の神話。
永遠に人々を魅了してやまないウンディーネ(オンディーヌ)の物語が、二人の名優を得て、現代を舞台の映画として登場した。
水の中に消えていく彼女の姿が、恐ろしくも愛しく魅力的で、忘れることが出来ない。
竹中直人(俳優、映画監督)コメント
自分がいつかこの世を去る時…
心が張り裂けるくらいに何を自分の瞳に残せるだろう…
狂おしいくらいに確かだったもの…
それは一瞬だけ瞳に焼きついた《映像》なのかも知れない。
止めどなく涙が溢れてしまった。素晴らしい映画だった。
ロバート キャンベル(日本文学研究者)コメント
「波」という意味のラテン語が語源の名をもつウンディーネ。
やさしく揺らぐような目で海を眺め、潮が引くように力強く男を誘って、深みへと連れていく。
その世界に浸る人は幸せであり、元には戻れない。
相手役をつとめるロゴフスキの演技に感動した。
岡田利規(演劇作家・小説家・チェルフィッチュ主宰)コメント
物語としては、とんでもなく奇妙で、ほとんど、いびつ。それなのに、映画としてのこの、溢れる説得力は、なんなのだろう?? すべてにおいて確信犯的(に違いない)なクリスティアン・ペッツォルトのマジックに、心地よく翻弄された。
下村由理恵(クラシックバレエダンサー)コメント
「宿命」とは切なく、悲しい。
私自身、舞踊化されたオンディーヌを演じた時に感じたこの感情。
終盤になるにつれ、どんどん引き込まれ、見終わった感覚は、今迄にないものでした。
可哀想なウンディーネ、宿命を恨むほど……。最後は涙、涙、涙しました。
深田晃司(映画監督)コメント
パウラ・ベーアの視線に導かれベルリンがミクロの街角からマクロの歴史へと展げられていく快感。
しかし、そこにあるのはひとりの女性への呪いだった。呪いをかけたのは誰か。巨大な悲しみをこの映画は私たちへと投げかける。
渋谷哲也(ドイツ映画研究者)コメント
ペッツォルトはいつも幽霊を主人公にする。行き場を失い新たな船出をひたすら待つ存在。
水の精ウンディーネもまた絶えず装いを変えてゆく大都市ベルリンをさまよう孤独な魂だ。
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“ドイツ製ダーク・ファンタジー”「水を抱く女」を黒沢清や深田晃司が絶賛
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