南杏子による同名小説を実写化した本作は、金沢のまほろば診療所を舞台に、医師の白石咲和子が在宅医療と向き合うさまを描く物語。エンディングテーマは歌詞のない女声のヴォーカリーズによる楽曲に。製作総指揮の
また応援歌は村治の作曲したテーマに心躍らせた岡田が「エンディングとしては歌詞のない女声ヴォーカリーズを採用し、それに歌詞を付けて製作できないか」という案から生まれた楽曲だ。岡田は村治のデモを聞いた5日後の2020年11月18日に急死。岡田プロデュース作品に数々の音楽を提供してきた旧知の仲である小椋に、作詞を依頼しようとしていた矢先のことだった。小椋は岡田の遺志を受け、作詞を快諾したという。
吉永は2人の参加について「小椋さん、村治さんから大きなパワーをいただき、映画は完成しました。銀河の向こうの岡田会長にも、歌声を、楽曲を届けたい思いです。そして、『いのちの停車場』が厳しい状況の中で懸命に生きている方達に寄り添う先品になりましたら、大変嬉しいです」と語っている。村治と小椋によるコメントは下記に掲載した。
小椋佳 コメント
年始早々、本映画「いのちの停車場」に寄り添う歌の作詞のご依頼を受けました。本作の製作総指揮を執っていた岡田裕介氏とは映画「動乱」をはじめ数々の作品を通じての親しい仲であり、突然の別れに、驚きと無念さを感じております。今回の「いのちの停車場」は安楽死がモチーフであり、実に難事業。安楽死を施す行為とは、ターミナルケアの帰結として、その痛み或いはすでに無意味な人生からの解放なのかそれとも単に罪深い殺人なのか極めて困難な問題です。この映画でも安楽死は是か否かの問いについて解答を提供してはいません。むしろ観客の皆さんならどう考えるかと問いかけている映画ということが言えるでしょう。兎に角詩を捻り出すのに数日かかってしまいました。私としては「いのちの停車場」を、人生の終点を目的地とするバスを待つ間に、一服するか一息ついて、ひと時「生」について考えを巡らせる場と捉え言葉を紡いでみました。悩んだ末に歌のタイトルも「いのちの停車場」そのものとさせていただきました。この歌が映画の深みを増す一助となることを祈りつつ。
村治佳織 コメント
2014年の、吉永小百合さん初プロデュース映画「ふしぎな岬の物語」への参加を通して岡田裕介会長との出会いの機会をいただきました。「今回の映画は、作曲で参加してほしい」と昨年初夏に会長より伺いました。エンディングテーマというスケールの大きさを背負い、考え込んでしまい、なかなかメロディが浮かんでこなかった時に、「映画の内容を音楽で表そうとするのではなく、あなた自身の経験で感じた不安、その先の希望、見えた青空、やっと登った頂上からの絶景、などを頭に置いて書いてみたらどうか」、と会長よりアドヴァイスをいただき、随分と気持ちが和らぎ、程なくして曲の元となるメロディを完成させることができました。メロディを作る際には、2013年に私が大病を経験したときに、いつも近くで支えてくださった小百合さんへの感謝の思いも、常に心の柱としておりました。
いよいよあと少しで音楽も完成というところで会長の突然のご逝去。直前まで音楽のことでご連絡のやりとりをしていたので、今でも、天に召されてしまったことが信じられませんし、日を追うごとに、もういらっしゃらないのだという哀しみが大きくなっています。レコーディングの時にも、ずっと会長のことが頭にありました。
この曲の存在が私にとって、命について想う、まさしく“いのちの停車場”となりました。
成島組に再び参加させていただき、心より御礼申し上げます。そして多くの方々にこの映画をご覧いただければと切に願っております。
映画ナタリー @eiga_natalie
吉永小百合「いのちの停車場」村治佳織がEDテーマ作曲、応援歌の作詞は小椋佳(コメントあり)
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