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本作は在宅医療のスペシャリストである長尾の著作をもとにした医療ドラマ。主人公・河田仁が病院でなく在宅医だからこそできる医療を模索し、人の死と向き合っていくさまが描かれる。
河田を演じた柄本は「お芝居の中でやっていることですが、“看取る”ということはかなりエネルギーを消費するなと思いました」と言い、「長尾先生のクリニックを通して、4件ほど在宅の現場を見させていただきました」と明かす。「長尾先生は本当にフラットで、近所のおじさんが近くに寄ったついでに顔を出したような感じ。在宅医療は医者を異物だと感じさせずに診療できるかが大事だと。そこは演じるうえで意識していました」とも話した。
「演技はしていません」と言い切ったのは宇崎。「監督とは40年来の友達です。台本をいただいたときに、高橋伴明が僕の役に潜んでいると感じた。セリフは覚えてしゃべったけれど、『これは芝居をしないで、僕が40年見てきた彼をそのままやればいいんだな』と思ったんです」と述懐する。しかし“手がロックンロールしている”ことを理由に高橋からリハーサルで注意を受けたそうで、患者役にもかかわらず元気がよすぎたことを反省した。
奥田は高橋から話が来た際には二つ返事で引き受けたが、主役が柄本であると知って心境が一変したと言い「おいちょっと待てと。監督が高橋伴明だということだけでもプレッシャーなのに、佑も? 下手なことをしたら舐められるな、二重苦だなと思った。それで本当に本を読み込んだんですが、逆に読み込みすぎてNG連発でした」と苦笑い。続けて「監督が『奥田、大丈夫か』と。余貴美子は『フフ』という顔をしているし、正面を向いたら佑が心配そうな表情をしてました」と回想すると、柄本は「本当に『がんばれ、がんばれ』と思いました……」と振り返る。さらに柄本は「そのセリフの間に質問していくんですが、ここでNGは出せないと僕は僕ですごく緊張していました」と当時の胸の内を吐露した。
長尾は「本作には死の影が描かれています。今はコロナ禍で、面会でも触れることができないが、その大切さを思い出してほしいです。そしてどこかに僕も出ていますので見つけてください」とコメント。高橋は「設備の整った大きな病院に入院するのがいいのか、自宅で静かに最期を迎えるのがいいのか、いろんな考え方があると思う。自分の中でこのように死んでいきたいということを形にして、こんな死に方もありますよと差し出したつもりの映画です」と説明した。
柄本は本作を「鬼平犯科帳」のように感じているという。「鬼平自身はそんなに活躍しない。ゲストが物語を進めていくんです。それと同じように、僕は主役だけど、患者さんやその家族の中にいかに目立たずにいられるかということがテーマでした」と撮影を振り返った。
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柄本佑、「痛くない死に方」でNG連発の奥田瑛二を心配「僕は僕で緊張してました」
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