毎日映画コンクール「MOTHER」の大賞受賞に大森立嗣が驚き、奥平大兼も駆け付ける
2021年2月17日 18:35
4 映画ナタリー編集部
第75回毎日映画コンクールの表彰式が本日2月17日に東京・めぐろパーシモンホールで開催され、「MOTHER マザー」の監督・大森立嗣らが登壇した。
日本映画大賞に輝いた「MOTHER マザー」からは大森のほか、長澤まさみ演じる主人公の息子・周平役の奥平大兼、プロデューサーの河村光庸、撮影を担当した辻智彦が登壇。大森は「ただただびっくりしています。この作品は内容的に厳しいものがありまして、河村さんにも『作品賞はないだろう』と言われていたので、今トロフィーがすごく重たくて、感慨深いです」と心境を述べる。奥平は、長澤との共演を「役では怖いお母さんでしたが、カメラが回っていないところで親子の関係を築いてくださいました」と回想。プロデューサーとして大切にしていることを問われた河村は「時代をどう切り取るか、ということかな」と一言でまとめた。
また日本映画優秀賞に選ばれた「アンダードッグ」からは、監督の武正晴や、同作で主演男優賞にも輝いた森山未來らがステージへ。森山は「現場でのディスカッションはあまりしていないんです。場を作ってもらったところに俳優がポンッと入って、それを切り取っていく。場作りに対してのこだわりの強さを感じていました」と撮影を振り返る。武は「僕たちが映画を作る目的の1つに“いろいろな才能との邂逅”があります」と話し、スタッフやキャストに感謝を述べた。なお同作では、西村博光が撮影賞を、藤丸和徳と瀬川徹夫が録音賞を受賞している。
「一度も撃ってません」で脚本賞に輝いた丸山昇一は、監督・阪本順治にアイデアを求められた際、自分が脚本を書くとは思っていなかったそうで「監督、よくぞ自分で脚本を書かずに僕に書かせてくれた、と思っています(笑)」と挨拶。「朝が来る」で監督賞に輝いた河瀬直美は、コロナ禍の状況を踏まえ「知らない人たちと暗闇の中で同じ映画を観るっていう幸せな時間が奪われてしまっている。できるだけ早く、あの空間をまた共有し合えることを目指したい」と思いを述べた。さらに外国語映画ベスト・ワン賞に選ばれた「パラサイト 半地下の家族」の監督ポン・ジュノは、ビデオで「日本は、本作がもっとも多く観られたトップ3の国でした。日本の観客の皆様に心から感謝しています」とメッセージを寄せた。
アニメーション映画賞に輝いた「魔女見習いをさがして」からは監督の佐藤順一と鎌谷悠が登壇した。アニメ「おジャ魔女どれみ」の20周年記念作品として作られた本作の受賞を受け、佐藤は「20年前からの取り組みを含めて評価していただけたということかなと思う。今もキッズアニメーションを作り続けているスタッフたちの励みにもなったはず」と喜びを語る。鎌谷は「『おジャ魔女どれみ』をどう引き継いでいくか悩んだのですが、この賞をいただけたことで、私たちの出した答えが間違っていなかったのかなと思えた」と手応えを明かした。芸術的で実践的なアニメーションに贈られる大藤信郎賞に選ばれたのは「音楽」。監督・岩井澤健治は、この映画を7年半かけて自主制作した理由を「アニメーション映画は予算と時間の掛かる大変な表現方法。長編になると多様性が生まれづらい分野でもあるので、挑戦してみようと思った」と話した。
映画界の発展に寄与した人物に贈られる特別賞には、大林恭子が輝いた。2020年に死去した大林宣彦を、妻として、プロデューサーとして支えてきた大林恭子は、大林宣彦の写真を持った娘・大林千茱萸とともに登壇。「笑顔でお話できたら。もう、泣き疲れちゃった」と話し始めた大林恭子は「たぶん大林(宣彦)は言うと思います。『この毎日映画コンクールが100年、200年、300年と続いて、映画が未来の平和へのバトンの1つとなるように願っている』と」とスピーチした。
田中絹代賞に選ばれた梶芽衣子は、ステージ上で「これだけ光栄に思った賞はございません!」と喜びを爆発させる。田中の主演作「流れる」への思い入れを明かし「私はこういう芝居ができるまで、絶対に女優をやっていたいと思いました。あの作品に出会えなかったら、こうしてここに立っていることもなかったかもしれません」と熱弁した。
毎日映画コンクールは、毎日新聞が“東京日日新聞”と称していた1935年から始まった「全日本映画コンクール」を前身とする映画賞。受賞作品および受賞者の詳細は下記の通り。
※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記
じろさん(じろともトン) @jirotomoton
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