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在宅医療のスペシャリスト・長尾和宏の著作をもとにした本作では、在宅医・河田仁が医療のあり方を模索していくさまが描かれる。柄本が河田を演じたほか、坂井が在宅医療を選んだ末に父を苦しませて死なせてしまう井上智美、宇崎が河田が担当する末期がん患者・本多彰、奥田が河田の先輩医師・長野浩平に扮した。
柄本は「主役という立場で出演できて、幸せいっぱいな作品です」と笑みをこぼす。坂井も「私も佑くんと一緒の気持ちです。伴明監督の作品に大好きな役者さんたちと一緒に出演できてうれしいです」と喜びを伝えた。
奥田は「監督が伴明さんだって聞いて、じゃあもうやる。台本は見なくてもいい!と言ったんですが、その日のうちに台本が届いたんです。そしたら主役が息子じゃない?」とオファー時を回想し、「もちろんいつも一生懸命やっていますが、今までにない思いで取り組みました」と真摯に語る。対する柄本は「奥田監督の作品にも出ていますし、『赤い玉、』で共演もしている。弟、父、妻とほかの家族も役者をやっていますが、一番ご一緒しているので自然に現場に入れましたね」と振り返った。
宇崎は自身が演じた本多のモデルが高橋であることに触れ、「(高橋が)何を考えているか、何をやらかしてきたかほとんど知っていますので、そのままやればいいんだなと。一切芝居をせずに高橋伴明をそのまま体に落とし込みました」と述懐。そして「何十年もやっているこの髪型、25分かかるんですね。25分で宇崎に偽装するんです。でも病人らしくないので、白髪染めせずバサバサの髪で出かけたら監督が『それでいいじゃない』って言ってくれて。今までお見せしたことがなかったですが、映画の中の白髪は私の白髪です」と茶目っ気たっぷりに紹介した。
前半は“痛い在宅医療”、後半は“痛くない在宅医療”で構成されている本作。高橋は「原作は『痛い在宅医』というタイトルなんです。重苦しい内容だけでもお話は作れると思ったけど、自分的にはつらい」と言い、「65歳になったとき、自分はどういう死に方をするんだろう?と考え始めたんです。苦しい前半に加えて、後半では自分が今考えられる理想の死を描きました」と説明した。本作に出演するにあたり長尾の往診に1日付いて回ったという柄本は「長尾先生は近所のおじさんのような距離感で患者さんの家に入って行く。目線を合わせてお話をするんですが、そのときに患者さんの手や腰に触れてあげていたんです。これは河田を演じるうえで取り入れようと思いました」と影響について言及する。
最後に高橋は「コロナ禍での上映ということで、当然ながら苦戦が予想されます。もし観て損はないぞと思った方は、いつもより数倍力を込めて『観て来い!』と勧めてください」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。
「痛くない死に方」は2月20日より東京・シネスイッチ銀座ほか全国で順次ロードショー。
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