2度目の緊急事態宣言、映画・演劇・音楽の3団体が意見交換「制度設計に問題がある」

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演劇・ライブハウス / クラブ・映画の3ジャンルからなる「#WeNeedCulture」の意見交換会が本日1月14日にオンラインで行われた。

「#WeNeedCulture」意見交換会の様子。

「#WeNeedCulture」意見交換会の様子。

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「#WeNeedCulture」ロゴ

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SAVE the CINEMA、演劇緊急支援プロジェクト、SaveOurSpaceの3団体による「#WeNeedCulture」は、文化芸術に対する支援を求める共同キャンペーン。昨年の4月に続き、2度目の緊急事態宣言が発出されたことを受け、昨日と本日にわたり文化庁、財務省、経済産業省、国会議員に要望書および緊急アンケート資料を提出した。

「#WeNeedCulture」のメンバーが文化庁に要望書および緊急アンケート資料を提出した際の様子。

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ロフトプロジェクト社長・加藤梅造は「20時以降の自粛要請というのは実質的に営業できないのに等しい。4月の緊急事態宣言のときと同じぐらい打撃を受けることになる」と吐露し、「前回の緊急事態宣言時は、クラウドファンディングや緊急融資で乗り切ったところもありますが、閉店したライブハウスやクラブもあります。秋ぐらいから上向いてきたところで、2度目の緊急事態宣言。前回以上に大きな打撃を受けると危惧しています」と語った。続けて各省庁、国会議員に「固定費の一定割合に相当する額の給付など、使途を問わない形での補償」「中止した公演の費用や時短営業による売上減など、売上の減少に対する補償」「第三次補正予算に加え、公費を支出する形での『文化芸術復興基金』の創設」「持続化給付金に代えて、より煩雑な手続きを伴わない給付金の支給」といった要望を伝えたことを説明。「緊急事態宣言と補償はセットで考えていただかないと、我々はこれ以上存続することはできないと、強く要望をお伝えしました」と述べる。

「#WeNeedCulture」のメンバーが経済産業省に要望書および緊急アンケート資料を提出した際の様子。

「#WeNeedCulture」のメンバーが経済産業省に要望書および緊急アンケート資料を提出した際の様子。[拡大]

昨日経済産業省に要望書を提出してきたという一般社団法人JDDA理事でクラブとクラブカルチャーを守る会のNaz Chrisは「フリーランスは逼迫した状態になっているということは申し上げました」と回想。また文化芸術に携わる人に対して行ったアンケートに触れ、「コロナ禍で死にたいと思ったことはあるかという問いに5309件の回答が寄せられ、3割の人があると答えています。こういった結果になったこともお伝えしました」と報告した。

意見交換会中盤には記者より「自粛要請ではなく、呼び掛けという形で規制が掛かっていることに対し、どのように感じているか?」と質問が飛ぶ。日本劇団協議会の福島明夫は「何がいけなくて何がいいか、具体的に示されないまま緊急事態宣言が出されたことが大きな問題。飲食を中心に対応していると言いながらも、演劇公演についても客席を50%にするように、終演時間を20時以前にするようにと要請が出されている」と言い、「政府が第三次補正予算で組んだ文化予算はすべて事態収拾後、事業再開の支援予算だった。今回、緊急事態宣言が出されて、これから公演ができなくなっていくことに対してどう対応すべきかが問われているのに、公演をやらないと助成金は出せないという制度になっている。制度設計に問題があるんです」と述懐。劇作家・演出家の瀬戸山美咲は「我々の仕事がいらないものなんじゃないかと感じてしまう。心が守られていないんです。議員の人は『生活に密着したものと比べると……』と言いますが、私たちがやっていることも生活に密着している。作り手はそういう一言一言に傷付いていると思います」と言葉に力を込める。

ユーロスペース支配人の北條誠人は「今回の呼び掛けに対して、多くの映画館は夜20時までに上映が終わるようにプログラムを組み直しました。その結果、ユーロスペースでは上映予定だったインディペンデント映画の封切りを見合わせたいという話が出ている。今日は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開も延期になったと発表されました。ミニシアター、シネコンと影響が出ています」とコメント。そして「20時以降営業ができないということは、売り上げの25%が消えていく状況。去年1年間で売り上げの35%を失って、また売り上げが減る……。支援や補償がないと事業継続が難しい。不安と不満は日に日に増しています」と厳しい表情を見せ、「本来なら夜のシフトに入っていたスタッフの給与は、働いた想定で支払わなければならないと考えています。それに対して補償してほしいというのが本音です」とこぼす。映画監督の西原孝至は「緊急事態宣言を出したあとに、政府は補償について考えている。この10カ月何をやっていたのかなと正直思います」と口にした。

映画監督の深田晃司は「不要不急という言葉が使われすぎていると思います。映画館で働いて、生活している人がいる以上、それは必要な場所です。自粛期間中に文化芸術に癒やされている人も多い。Netflixなどの配信だって、今までの文化の延長線上にあるもの。そこに対して、国には評価してほしいと感じています」と言及。同じく映画監督の諏訪敦彦は「去年から活動してきましたが、文化芸術が特別重要だということが言いたいんではない。ほかのものと同じように重要だと言っているんです。政府の方針は新しいことをした人を支援しますよというもの。今生きるのがやっとなのに、新しいことをやれという。これは雑です」と伝える。これを受けた深田は「コロナ禍で、人々の生存が危ういという状況の中で、補償のあり方を変えることができない。柔軟性のない制度設計でいいのか?と思います」と疑問を投げ掛けた。

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読者の反応

越前₍₍⁽⁽🐕₎₎⁾⁾ @taraba777

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映画・演劇・音楽団体も金くれいいだした

飲食店だけ優遇しすぎたね😓
1日6万円はさすがに羨ましくなるわな・・

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