のん「私をくいとめて」で演じる楽しさ再確認、女優業は「自分の生きる術」

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私をくいとめて」が第33回東京国際映画祭で観客賞を受賞し、主演ののんと監督の大九明子が11月9日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで記者会見に出席した。

第33回東京国際映画祭「私をくいとめて」記者会見に出席した、のん。(c)2020 TIFF

第33回東京国際映画祭「私をくいとめて」記者会見に出席した、のん。(c)2020 TIFF

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「私をくいとめて」ポスタービジュアル

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綿矢りさの同名小説を映像化した本作では、のん演じる主人公・黒田みつ子と歳下男子の恋模様がユーモラスに描かれる。改めて受賞の感想を問われると、のんは「純粋にうれしい。映画は観てくださる方がいて初めて完成するもの。たくさんの方の心に届き、賞という形になるのは大興奮です!」と目を輝かせる。大九は3年前の「勝手にふるえてろ」に続き2回目の観客賞を手にし、「喜びは前回も今回もまったく一緒です。ただ今年は、今まで当たり前だった“映画館で時間と場所を共有して映画を観る”ことが貴重になってしまった。そんな中で受賞したという重さはまったく違います」と深く感謝した。

左からのん、大九明子。(c)2020 TIFF

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のんの起用経緯について質問が出ると、大九はプロデューサーの推薦があったと明かし、「年齢不詳なところがあり、このようにチャーミングでありながら、会社のどこかの部署でひっそり働いていそうな雰囲気もある。そんな魅力を感じました」と説明。みつ子の脳内にいる相談役・Aの声を担当した“あるキャスト”についても話が及び、のんは「本当にいい声だなあと(笑)。私は甲高くて子供っぽい声なのですが、Aの方の声はどっしりとして深みがある。勝てないなと悔しい気持ちにもなりました」と絶賛する。

のん (c)2020 TIFF

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のんは9日のクロージングセレモニーで「何年ぶりかの主演映画としてこの作品に参加できて喜びでいっぱい」と話していた。「私は女優のお仕事が本当に好きで、ここに一生いたいと思っています」と切り出し「10代の頃、女優じゃなかったら何をやってたんだろう?とふと思って実家の妹に聞いたんです。そうしたら『そのへんでのたれ死んでると思う』と言われて。この道があってよかった!と納得しました(笑)。(女優業は)自分の生きる術。これしかないという気持ちが固まりました」と素直な思いを述べる。「中でも主演映画は特別。たくさんシーンがあって、たくさんセリフがあって、ずっと演技をしていられる。至福です。映画の現場はたくさんの人の思考が同じところに向かっていく感覚がたまらない。主演だとその中にずーっといられて気持ちいいですし、くたびれたり落ち込むときもあるけど、手応えがあるとこんなにうれしいことはない!ってくらい幸せです」と演じる喜びをあふれさせた。

大九明子 (c)2020 TIFF

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大九には“女性監督”として意識することについて質問が。商業映画の世界に入った当時、今より女性スタッフが少なかったと振り返る彼女は「私が監督として現場にいるだけで『この組は女性が多いな』と声を掛けられて。そのたびに、地球のバランスで言ったらまだまだです!と返してました」と苦笑する。「女性監督に撮ってほしい」という理由でオファーされることも少なくなかったようで、「もちろんその理由も間違っていません。それどころか女であるだけで個性だと言われるなんて有利だなとも思ってました。でも、だんだん腹が立ってきました」と吐露。「私は女性の人生しか送ってないから、女性としての作品しか作れないかもしれない。でも男性監督にも同じことを言いますか?と。生意気ですけど」と続け、「振り返ってみると、私を導いてくれた大事な人はすべて女性でした。小学校のときに私の作文を褒めてくれたのも女性の先生。商業映画の1本目を撮らせてくださったプロデューサー、松田広子さんも女性。なので私も女性の後輩にはうんと優しくしたいし、ときには厳しく(道を)照らしていける、そんな大人になりたいです」と真摯に述べた。

左からのん、大九明子。(c)2020 TIFF

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さらに大九は「映画制作者としての覚悟」についても言及。「ミニシアターや映画界を盛り上げなくちゃ、映画制作者として生き延びなきゃ、みんながそう思っている中、悲しいハラスメントがあることから目を背けてはいけません。“武闘派”なんていう言い方で、映画の現場に暴力が横行するようなことは“くいとめ”なくてはいけない。映画がすべての人にとって救いであるように、これからもがんばっていきたいです」と力強く語った。

「私をくいとめて」は12月18日より全国でロードショー。

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(c)2020「私をくいとめて」製作委員会

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