第33回東京国際映画祭の特別招待作品「
「滑走路」は夭折した歌人・萩原慎一郎の歌集をもとにしたオリジナル作品。切り絵作家の翠、若手官僚の鷹野、中学2年生の学級委員長という3人の人生が交錯していくさまを描く。水川が翠、浅香が鷹野、寄川が学級委員長をそれぞれ演じ、大庭は本作で商業映画監督デビューを果たした。
2020年は新型コロナウイルスが猛威を振るい、現代社会が抱える問題が改めて浮き彫りに。大庭は「コロナ禍によって、人と人の距離が物理的にも精神的にも離れざるを得ない状況の中で編集作業を進めたのですが、その距離がゼロになる瞬間がありドキっとしました。“ゼロになる”瞬間の尊さを皆さんにも感じてほしい」と考えを口にした。
登壇者が萩原の歌集からお気に入りの一首を各自発表するコーナーも。水川は「自転車のペダル漕ぎつつ選択の連続である人生をゆけ」を選び、理由を「人間って1日の中でも何千通りの選択をして生きているんですよね。人生が常に選択の連続であること、その選択が間違っていたとしても強く生きていく、という確かな意志が見えた歌だと思ったので」と説明する。
浅香が選んだ歌は「破滅するその前にさえ美はあるぞ 例えば太陽が沈むその前」。撮影前は別の歌に感銘を受けていたという浅香だが、「撮影が終わったあと、この歌が一番響いてきて自分でも驚きました。たまたま今のタイミングでこれがしっくりきたのですが、10年後にまた読み返したときどんな歌を好きになれるのか楽しみです」と語る。寄川は「ぼくたちはロボットじゃないからときに飽きたり眠くなったりするさ」という一首に共感できたと明かし、「自分は飽き性なのであまり物事が続かなくて、すぐに眠くなってしまいます。でもそんな自分でも唯一続いているのはお芝居。芝居をしている間は、ほかのことは何も考えず、ただ芝居だけに集中することができるんです」と堂々と語った。
イベントの最後には改めて登壇者が挨拶した。水川は「今の世の中って人にとっての豊かさとか、幸福が少し見えにくくなっている時代だなと思います。そんな時代であっても人を救うのは人なんだと、この映画を観て改めて気付いてもらえると思います。そっと寄り添って肩を組んでくれるような映画であってほしいです」と作品の魅力をアピール。大庭は「とにかく、今ここにいる3人の俳優たちがとても素晴らしい演技を見せてくれて、それを堪能するだけでも映画を観る価値があるのではないかと思います。しっかり目に焼き付けていただければ」と伝えた。
関連記事
水川あさみの映画作品
リンク
関連商品
KADOKAWA文芸編集部 @kadokawashoseki
#水川あさみ「そっと寄り添ってくれるような映画」、主演作『#滑走路』(#萩原慎一郎/原作 角川文庫)映画祭で初披露
https://t.co/523vDytmEU