第21回東京フィルメックス特別招待作品「
同映画祭のオープニング作品として披露された本作。6年前に妻を失った精神科医・貴志と、謎めいた患者・綾子の恋模様がスリリングに描かれる。仲村が貴志、杉野が綾子を演じたほか、斎藤工、中村ゆり、片桐はいりらが共演した。
仲村は「UN LOVED」「ありがとう」「接吻」に続き、万田と4回目のタッグを組んだ。本作の脚本を読んだ際の心境を「間違いなく難しいだろうなと思った」と振り返り、「難しさを克服する必要もありませんでした。監督なら間違いなく撮ってくださるだろうと絶大な信頼があったので」と言葉に力を込める。
それを受け、万田は「仲村さんには映画で4回お付き合いいただいて。毎回現場でお会いするだけですが、だんだん親しくお話しさせていただくことが増えて、関係性も変わってきました。こちらも要求しやすくなったと思います。これならやってくれるかな、こういうふうにしてくれるかなと。仲村さん自身が変わったというより、そういう部分で変化があったのでは」と自分たちの関係の変化を俯瞰。「ただ今回は、仲村さんのお芝居に魅入られてしまって……やっぱりすごいなと強く感じました」と続けた。
過去に「体が動いているときは心も動いてる」といった趣旨の発言もしている万田の演出に、仲村と杉野がたびたび驚かされたという話も。仲村は「例えば綾子がソファの背もたれを飛び越えて向かって来るシーン。回って来るのではなくて、なぜ飛び越えるのか。希妃さんが100%理解して演じたのかわかりませんが、わからないままだったとしても、観客には伝わるものがあるはず。それが万田監督のいくつもある素晴らしさの1つだと思います」と説明。杉野は「細かい演出やカット割りをされる中で、自分の想像を超える動きがあったりすると、リハーサルで笑っちゃうこともあって。でも実際に本番が始まると、動くことで気持ちが付いてくるというか、想像してなかった新鮮な感情が湧いてくることが多いんです」と万田の“マジック”に言及した。
また本日の登壇のために、仲村は20年近く前に製作された「UN LOVED」のメイキング映像を観返してきたと報告。「自分のインタビューの態度が悪くて、なんでだろうと考えていたんですよ。当時は監督の演出が予想できなくて、不安と虚勢であんな態度になっていたんじゃないかな」と自ら分析し、「『接吻』では、これはすごい映画になるだろうと脚本を読んだ段階から思っていました。今回も予想どおりの映画になるだろうと思って。その結果、予想以上の出来になりました」と胸を張った。なおプロデュースも担当した杉野によれば、本作は2021年春の劇場公開に向けて調整中だという。
第21回東京フィルメックスは11月7日まで有楽町朝日ホールほかで開催。
映画ナタリー @eiga_natalie
仲村トオルと杉野希妃、万田邦敏の演出にあっと驚かされた撮影回想
https://t.co/IWvNvvrM4x
#東京フィルメックス https://t.co/GMUJpgWWFA