映画配給会社UPLINKおよび関連会社の元従業員5人が、同社の代表・
浅井による従業員への人格否定や恫喝といったパワハラが長期にわたり日常的に行われていたとして、東京地方裁判所に提訴された浅井およびUPLINK。このたび和解協議が合意に至ったことを受け、UPLINK公式サイトにて今後の対応に関する声明が発表された。
浅井は「あらためてこの場でも、今回提訴した元従業員の方々、そして、そのほかの元従業員のみなさん、現在勤務している従業員のみなさんに対して、これまでの私の対応によって傷つけたことを深く謝罪いたします」と記し、「今回の提訴を受け、改めてハラスメントは人の尊厳に関する問題であるということを認識し、自分自身の課題として、向き合ってきました。今回の合意をハラスメントのない会社の仕組みを作るスタートとして捉え、アップリンクに関わるすべての方々が働きやすい職場作りを目指していきます」とコメント。具体的な対応として「外部の専門家による相談体制」「通報制度・窓口の設置」「第三者委員会の設置」「社内体制の改革・スタッフとの定期的な協議」「取締役会の設置」「アンガーマネージメントについてのセミナー、カウンセリングへの参加」に取り組むと説明している。
一方、元従業員を対象にした被害者の会「UPLINK Workers' Voices Against Harassment」の公式Twitterでも声明が発表された。和解協議が合意に至ったとしながらも「私たち原告は、『円満』にも、そして『全ての問題が解決した』とも考えておりません」とつづり、7月末に浅井より直接謝罪を受ける機会が設けられたことを説明。当時のことを「浅井氏は、原告の私たちの発言を数度にわたって遮り、まるで他人事であるかのように自身の加害行為について分析し、原告の訴えた被害から目を背ける持論を展開しました。また被害の訴えを『勘違い』であると受け取り方の問題にすり替える発言もありました。このような態度は、アップリンク在籍時に浅井氏から受けたハラスメントを想起させました」と振り返っている。しかし裁判という形が、望む結果を獲得する手段にならないという考えに至ったことを述べ、UPLINKに在籍するスタッフの負担が軽減する仕組みを作るために、条件を提示しその合意を得ることを優先したと言及。
さらに声明の中では提訴後の映画関係者の沈黙と二次的加害についても触れており、「深刻なパワハラが繰り返されてきたことが明らかになってもなお、沈黙を続けるのは何故でしょうか。『作品に罪はない』と問題を矮小化させてしまう発言をするのは何故でしょうか。加害者を擁護するため、被害者である私たちの発言を否定したのは何故でしょうか」と疑問を投げかけている。続けて「尊厳を犠牲にすることを前提とした働き方が日本の映画業界を支えているのだということを、そしてその問題から目を背けたあなたの言葉や行動が、時に人を死に追い詰め、誰かの人生を奪っているのだという事に気付いてください」と訴え、「アップリンクで働いている中で受けた傷はもちろんのこと、提訴後のアップリンク側の不誠実な対応や映画業界の沈黙や二次被害によって受けた傷は未だに癒えていません。これまでと同じように、それぞれが背負った傷とともに日常を生きていきます」と思いを伝えた。
浅井隆 コメント
6月にお知らせした元従業員の方々に提訴された件について、直接の謝罪の機会を経て、その後、訴訟外での和解協議が合意に至ったことを、これまでアップリンクを支えて下さったお客様、関係者の皆様にご報告します。
あらためてこの場でも、今回提訴した元従業員の方々、そして、そのほかの元従業員のみなさん、現在勤務している従業員のみなさんに対して、これまでの私の対応によって傷つけたことを深く謝罪いたします。
今回の提訴を受け、改めてハラスメントは人の尊厳に関する問題であるということを認識し、自分自身の課題として、向き合ってきました。
今回の合意をハラスメントのない会社の仕組みを作るスタートとして捉え、アップリンクに関わるすべての方々が働きやすい職場作りを目指していきます。私だけでなく、アップリンクという組織全体でも徹底していきたく思います。
以前にもお伝えしたハラスメントに対する具体的な対応は、今回あらためて見直したものも含め次の通りです。
●外部の専門家による相談体制
ハラスメントを相談できる体制として、弁護士など専門家が参加する外部窓口を設けます。
●通報制度・窓口の設置
アップリンクの社内には、すべての従業員が相談できる窓口として、「ハラスメントフリー委員会」を設けました。
●第三者委員会の設置
元従業員の方々からの提案により定められた第三者委員会を設置し、社外の方々の視点も取り入れ、ハラスメントフリーに向けた体制を作ります。
●社内体制の改革・スタッフとの定期的な協議
企業としての組織体制を見直し、これまで曖昧だった配給宣伝、映画興行、映画関連事業など各部署の事業範囲を明確にし、そこに責任者として部長を任命し、トップダウンではなく各事業部署ごとに運営し、円滑に業務を遂行するマネージメント体制を作っていきます。
●取締役会の設置
既に社外取締役を招く準備を進めており、複数の役員で会社の経営を行なっていきます。
●アンガーマネージメントについてのセミナー、カウンセリングへの参加
代表の私は既にアンガーマネージメントのセミナーに参加しましたが、この後、ハラスメント防止に関する研修も受けてまいります。こちらは、上司となる立場のスタッフにもハラスメント防止に関する研修を受けてもらいます。また従業員全員にハラスメントとは何かという研修を行います。
アップリンクは社会の均質化に抗い、問題提起していくことを目指した組織です。言うまでもなく、まず自分たちの組織の中で実現できてこそ、その目指す姿は成り立つものです。あらためてその原点に立ち返ります。
今回の件で、アップリンクを応援してくださった皆様に残念な思いをさせてしまったこと、申し訳ありませんでした。
アップリンクは、自社の配給作品、また多様な作品を上映する映画館の運営に共感や、関心を寄せてくださったすべての方に育てていただきました。
そのご期待に反することがないよう、これからも応援していただける組織に変わります。
これからのアップリンクを、厳しい目で育て、見守っていただけるよう、お願いいたします。
関連記事
浅井隆の映画作品
リンク
北欧留学情報センターBindeballe @bindeballe
合意してたんだ。よく知らなかったな。
健全にやってるんだろうか。
UPLINKパワハラ問題、訴訟外で和解協議が合意に至り双方声明発表 https://t.co/7BLPbqxnV1