12人の映像監督による12本の短編映画製作プロジェクト「
新型コロナウイルス感染症により世界各国で影響を受けている人々を支援するため、ソニーグループが4月に設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」。「DIVOC-12」プロジェクトはこの基金を活用しクリエイターたちを支援するものだ。クリエイターと俳優の一部を公募し、新しい表現の機会をサポートする。また、各作品の制作過程において感染予防を徹底し、コロナ禍の社会における新しい映像制作方法に挑戦。本プロジェクトの収益の一部は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている国内の芸術・文化活動のサポートのため、芸術文化振興基金へ寄付される。
「DIVOC」はCOVIDを反対に並べた言葉で、「12人のクリエイターとともに、COVID-19をひっくり返したい」という思いが込められた。12人のクリエイターたちは“成長への気づき”をテーマにした
上田は「合計12人の監督で映画を作るということはなかなかないので、わくわくしています!」と、三島は「後輩たちと一緒に映画を作るのは珍しいこと。わいわいしながら映画を作れるのが楽しいなと思っています」とコメント。続いてオファーがあったときの心境を問われ上田は「どういった映画を作るのかというのも大事ですが、どういう体制で作るのかも大事にしています。12人の監督で作品を作るという枷は、新しいものを生み出すいい枷になるだろうと思いました」と述べる。三島はドイツ・フランクフルトで開催されたニッポン・コネクションでのトークセッションを振り返りつつ、「女性監督たちと『コロナ禍でこれから映画って撮れるんだろうか?』と話し合っていました。私はきっと今まで生まれなかったシステムが生まれるだろうし、今まで撮る機会が少なかった若手や女性監督にもチャンスがくるのではないかなと話したんです。そんなときにオファーをいただきました」と回想し、「このプロジェクトでは性別、年齢、国籍関係なくチャンスが与えらます。『ぜひやらせてください!』とお返事したのを覚えています」と笑顔で語った。
三島は「このプロジェクトでは作りたいものがある作り手を支援できます。そしてスタッフとキャストも支援できる仕組みです。コロナ禍で作り手は深くいろいろなことを考えていると思います。そのふたを一気に開けて、みんなと一緒に作品を発信していきたいです」と意気込む。上田は「長編ではできないチャレンジができるのが短編映画。チャレンジングなものを作りたいなと思っています!」と声を弾ませた。
“感触”というテーマを自身で提案したという上田。「今の時代は、感触がどんどん失われていると思うんです。人やものに触れる感触、エンタメを生で味わうこともコロナ禍で遠いものになってしまった。だから感触を選びました」と言及する。“共有”をテーマに選んだ三島は「コロナがあって、世界中が同じことに悲しんだり喜んだり苦しんだりしている。この時期を共有して、そのあとに何を共有していきたいのか? いろんな作家の人とディスカッションして作品を作っていきたいなと思っています」と言い、「ただテーマに縛られず表現者には自由でいてほしい。今の時代を生きていれば自然と“共有”という要素は作品に込められると思います」と続けた。
イベント中盤には応募者に求めるものを上田と三島が問われる場面も。上田は「『カメラを止めるな!』を作るまで自分は無知で無名で無謀でした。でも無知だからこそできることもあった。そういった姿を見せてほしいし、僕も一緒に勉強したいと思っています」と述懐し、三島は「作りたい、演じたい!という渇望を素直なまま出していただいて、それをみんなで発信していければと思っています」と呼びかける。またここで参加監督である藤井のビデオメッセージがスクリーンに流された。藤井は「“映画しかない”という人を選びたい。フラストレーションがたまっている若い俳優がたくさんいると思うので、彼らを見てあげられる監督でいたいですね」と伝える。
最後に上田は「僕はエンタテインメントに救われてきた人間なんです。なかったら死んでいたんじゃないか?と思うぐらいです。だから作品を観た人の気分が明るくなる映画を作りたいと思っています。そして完成した作品を観て自分も作りたいと思う人が増えてくれれば」と願いを込める。三島は「かつては映画を作れない時代もあった。そんなとき先人たちが風穴を開けてきました。このプロジェクトが続いていって、映画を作りたい人たちがチャレンジできる場所に育っていけばいいなと思っています」と言葉に力を込め、イベントの幕を引いた。
なお会見にはソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのディストリビューションゼネラルマネージャー齋藤巖、同社サステナビリティ推進部 CSRグループ ゼネラルマネジャーのシッピー光、同社のディストリビューション ローカルプロダクション&アクイジション シニアマネージャー / プロデューサーの菊地洋平も参加した。
藤井道人 コメント
2020年、何度も心が挫けそうになる機会に直面した。そんな中、自分が出来ることは何かと、自問自答を繰り返したが、やはり「映画を創る」以外に答えは見つからなかった。今一度、短編映画という原点に立ち返り、映画作家として今、表現出来ることを模索して行きたいと思います。
上田慎一郎 コメント
僕はずっと映画に助けられてきました。体を悪くした時は病院で薬を貰って治します。心を悪くした時は、多くの場面で、それを映画が治してくれました。「映画は人を救う薬になる」...なんて言うと大袈裟でしょうか。大袈裟じゃないと思います。困難な時こそ映画の出番です。今、心に効く映画を創ります。
三島有紀子 コメント
2020年、私たちは救いがないように感じる世界を共有している。けれどこの企画のように、希望に似た新しい世界も共有していくだろう。人間が繋がる、繋がらないも含めて何を共有するのか、できるのか、見つめたいと思う。それを発信できる機会を与えてくれた製作陣のクリエイターへの新しい支援企画に、チーム一同、心から感謝する。
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