「超擬態人間」監督インタビュー到着、制作のきっかけは社会情勢に感じた怒り

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「生地獄」「狂覗」で知られる藤井秀剛の監督作「超擬態人間」が10月30日に公開。このたび、藤井のインタビューが到着した。

「超擬態人間」ビジュアル

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本作は赤子を抱える男の幽霊を描いた伊藤晴雨の幽霊画「怪談乳房榎図」に着想を得たスラッシャーホラー。深い森で目を覚ました親子や、山中に車で迷い込んだ結婚式を控えるカップルと新婦の父親が体験する物語が描かれる。当初4月24日に封切りを予定していたものの、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期されていた。

「超擬態人間」

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幼児虐待をテーマとする本作。藤井は制作のきっかけについて「純粋に社会情勢です。近年の社会情勢は大人として恥ずかしいことばかりで、その怒りを軸に自分なりの『ザ・チャイルド』を作りたいと思っていました」と語り、「そんな矢先に伊藤晴雨の『怪談乳房榎図』に出会ったんです。日本で唯一の『男の幽霊が赤子を持つ姿』を描写したこの絵には、圧倒的な悲しみと重圧のパワーがみなぎっていて。“この絵をポスターにした作品”を作りたいという思いに突き動かされたんです」とイメージの源を明かした。

「超擬態人間」

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「映画における社会派映画の役割は、『すでに興味のある人に伝えること』ではなく『知らない人に広く問題を伝えること』だと考えています」と言う藤井。「児童虐待問題で言うならば『児童虐待問題は悪いことです』なんて説教映画を作ったところで、興味のない人からすれば『そんなのわかってるよ』『説教臭そうで嫌い』と敬遠されてしまう可能性のほうが高い。それならば、ホラー映画として物語に恐怖し楽しんでもらいつつ、“潜在的に”社会的問題を訴えかけられる映画が作れたら面白くないですか? 観客はホラーを楽しみつつ、気付かないうちに児童虐待について考えるようになる。そんなウイルス的に蔓延することが社会派映画の理想の姿だと思います。というよりも映画そのものの理想の姿だと思います」と述べる。

「超擬態人間」

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本作は日本での公開に先駆け世界45カ国で配給され、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭2019では、アジア映画部門のグランプリを獲得した。海外で評価されたことについて、藤井は「近年、国際的に評価されている映画は、潜在意識というものを巧みに活用した作品が多いですね。A24が輩出する作品などはまさにそうで、気付かないうちに気付かなかったものが意識下に刷り込まれている。『超擬態人間』がウケた理由は“奇跡”だと思っていますが、あえて紐解くなら、その部分が評価されたことはあると思います」と分析。また「今まで観たことのないゴア描写アイデアの数々は、低予算映画としての限界はあるにせよ、面白いアイデアとして評価されたと思っています。あとは本作を死に物狂いで作ったスタッフとキャストたちの熱い情熱が作品からあふれ出ているのも理由の1つと考えています。映画は作り手の愛を感じられると2倍、3倍面白く、また愛らしく感じられますから」と語った。

「超擬態人間」は東京・UPLINK渋谷、UPLINK吉祥寺、池袋シネマ・ロサほかで公開。杉山樹志、望月智弥、田中大貴、河野仁美、坂井貴子、安井大貴らが出演している。

※「超擬態人間」はR15+指定作品

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