「
辻村深月の同名小説を原作に、実の子供を持てず養子を迎えた夫婦と、産んだ子供を育てられなかった女性の関わりを描く本作。原作を通して特別養子縁組について知ったという河瀬は「実は私は養女なんです。養子縁組をしてもらわれた子供」と明かし、「特別養子縁組は普通養子縁組と違って、戸籍の中で実子としてその子が迎え入れられる。斡旋しているNPO法人の多くは、真実を告知するということをきっちりされているんです。そこで救われる命があるんだ、素晴らしいなと思った」と話した。
特別養子縁組制度を使うことを決断する清和役の井浦は、現場を「常に追い込まれてました」と回想。続けて「心がズタボロになるようなシーンを終えて僕が呆然としていると、監督が横にちょこんと座っていてくださったりして。大変なシーンを投げっぱなしにするのではなく、そのあとのケアもしてくださった」と河瀬に感謝を述べた。
河瀬組では、役者が撮影用の家に実際に住むといった“役積み”と呼ばれる準備期間が設けられる。血のつながらない息子・朝斗を育てる佐都子役の永作は「スタッフをどんどん信じられなくなった」と冗談交じりに振り返り「夫婦で温泉に泊まるシーンがあって、実際には泊まらないことになってたんですけど、着いたら『さあお風呂に入ってください』『ごはん食べてください』と言われて……。映像には撮らないし、どこに誰がいるのかもわからないまま進んで行って、私は『罠だな。このまま泊まらせる気じゃないか、そこまでやるのか河瀬組』と思ったんです(笑)。遅くなってから解放されたんですけどね」と告白した。
朝斗の産みの親・ひかり役の蒔田は、家族役のキャストと3週間ともに生活したそうで「その期間でできあがった関係性が映画にも映っていると思います」とコメント。両親役のキャストは、カメラの回っていないところで、ひかりを妊娠させた恋人・巧のもとへ行き「交際をやめてほしい」と告げるという“役積み”を行っていたという。河瀬は「台本にもないけど、普通行くでしょって言って(笑)。行く前と行くあとでは感情が変わる。想像を超える現実っていうのがあるんですよ。巧の両親役は素人で、私の友達だったんですけどね」と説明。そこで巧役の田中偉登は終始涙していたそうで、河瀬は「カメラを回せばよかった」と続けた。
またイベントでは、NPO法人“ベビーバトン”の代表・静恵役の浅田が、河瀬の監督作「あん」で共演した樹木希林について話す場面も。樹木の死から数カ月後にオファーを受けたという浅田は「河瀬さんからお電話があったんです。希林さんが河瀬さんの枕元で『美代ちゃんはー?』って言ったのかな?ってくらいのタイミングでした。だからこそ裏切っちゃいけないと思った」と作品に臨む際の心境を明かした。
そしてイベントの最後に、朝斗役の
※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記
関連記事
永作博美の映画作品
リンク
菱沼康介 演技強化WS! 短編集!! 新作準備中!! @hisikosu
「朝が来る」永作博美、驚異の“役積み”に「そこまでやるか、河瀬組!」(写真16枚) https://t.co/aFlJKigNBp