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A24とプランBエンタテインメントが「ムーンライト」以来のタッグを組んだ本作。都市開発によって変わっていくサンフランシスコを舞台に、街に住んだ最初の黒人だった祖父の家を取り戻そうとする主人公ジミーの姿が描き出される。
「新聞記者」「宇宙でいちばんあかるい屋根」で知られる藤井は、「急速に変わりゆく時代の中で、変わらないものの大切さをこの映画は教えてくれた」と感想を述べる。また「静かな雨」の中川は「人が場所に生きるのではなく、場所に人が生かされていることを忘れた現代人への黙示録。と同時に、かけがえのない友情についての物語」とコメントした。以下には
2019年のサンダンス映画祭で監督賞と審査員特別賞を受賞した「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」は、10月9日より東京・新宿シネマカリテ、シネクイントほか全国でロードショー。
藤井道人(映画監督)コメント
愛していないなら憎む権利はない。
自分の生まれた街で育んだ家族や友達との愛しい思い出を、
ジョー・タルボット監督は鮮烈に、そしてどこまでも純粋に描ききった。
急速に変わりゆく時代の中で、変わらないものの大切さをこの映画は教えてくれた。
PUNPEE(ラッパー / プロデューサー)コメント
去年サンフランシスコに行ったときに街の事情を聞いたばかりだったので針が刺さってくるような映画でした。
帰るべき場所は育ててくれた街なのか自分自身なのか。
故郷にいるはずなのにノスタルジーを感じる街の描写が悲しいけど綺麗で印象的でした。P
青野賢一(ビームス創造研究所クリエイティブディレクター / ライター)コメント
家と街と友情をめぐる、ほろ苦くて優しく、そして勇気ある物語。
なくしてはいけない物事が、この映画には全部詰まっている。
東山彰良(作家)コメント
心優しきふたりの男が、不器用ながらも過去と決別する。
必死にこだわりつづけてきた古い物語を捨て去ろうとする
彼らのすべてが切なく、そして愛おしい。
マリエ(デザイナー)コメント
まるでアートピース。
優しさと欲望に包まれ流れ進められていくストーリーに
1シーン1シーンが写真で切り取られているかの様な美しさ。
誰にでもある記憶と懐かしき匂いは国や場所を選ばない。
けれどもそこは憧れの街サンフランシスコ。
山崎まどか(コラムニスト)コメント
サンフランシスコの街並みも、歴史を感じる美しいヴィクトリアン・ハウスも、この新世代監督の目線で見ると何もかもが新しく感じる。
それは街を追われ、故郷を求めるマイノリティたちの切ないほどの
望郷の視線なのだ。
松浦弥太郎(エッセイスト)コメント
若い頃、サンフランシスコのフィルモア地区の町並みが大好きで、
毎日、夕方になると友だちと散歩に出かけた思い出がある。
歴史を重ねた家々は、部屋のあかりが灯されると、カラフルにライトアップされ、さらにまぶしく目に映った。
いつかここで暮らすんだ、と夢見た気持ちは今でも色褪せていない。
ピュアな自分に立ち返らせてくれる作品だった。
中野裕之(映画監督)コメント
見たことないサンフランシスコ、スケートボードのシーンに魅了された。新世代監督の紡ぐ映像はとても新鮮で、新しい映画の描き方。
サンフランシスコ愛、家愛、そして何よりも友情。優しいってやっぱり素敵だな。
映像が素晴らしくて見入ってしまった。
菊地成孔(音楽家 / 文筆家)コメント
デトロイトやシカゴがそうであったように、我々は合衆国の大都市が「いつの間にか」荒廃しきっていた、という事実をニュースやネットではなく、映画や音楽で徹底的に知る。ここでは現在のサンフランシスコの驚くべき姿が描かれている。路上のブラックブラザー達も、90年代ヒップホップのマナーで生きている主人公の片割れ(これはバディ映画である)も、クソダサく、そして、壊滅的なまでにやり場がない。もう一人の主人公は元ヒッピーカルチャーの名残の一つとしての、前衛演劇の劇作家だ。彼もクソダサく、やり場がない。しかし、本作は、脚本それ自体が劇作的(演劇的)であり、特に最後の驚くべきどんでん返しは、「スリー・ビルボード」や「アス」「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」等と匹敵する、
劇作的な驚きに満ちている。ジョーダン・ピールやバリー・ジェンキンズ等が標榜する「新・黒人映画」のムーブメントに服さない理由はどこにもない。
中川龍太郎(映画監督 / 脚本家)コメント
どこにもいくことのできない時代の凍れる、沈黙のオペラ。人が場所に生きるのではなく、場所に人が生かされていることを忘れた現代人への黙示録。
と同時に、かけがえのない友情についての物語。
人も物も全ては無くなるが、生きることは無意味ではない。たった一つの心でも痕跡が残るのならば。
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