SKIPシティ映画祭が閉幕、グランプリは末期がん宣告に苦悩する女性描いた「願い」

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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020の授賞式が、本日10月4日に埼玉・SKIPシティ 映像ホールで開催。国際コンペティション部門の最優秀作品賞(グランプリ)に、ノルウェーとスウェーデンの合作「願い」が輝いた。

「願い」 (c)Manuel Claro

「願い」 (c)Manuel Claro

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左から磯部鉄平、アンシュル・チョウハン、串田壮史、藤田直哉、朴正一。

左から磯部鉄平、アンシュル・チョウハン、串田壮史、藤田直哉、朴正一。[拡大]

17回目となる今年、初めてオンラインでの開催を実施したSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。国際コンペティションでは長編10作品、国内コンペティションでは長編5作品と短編9作品の計24本がシネマディスカバリーズで配信された。

マリア・セーダル

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「願い」はクリスマス直前に受けた末期がんの宣告に苦悩する女性アンニャの11日間を描いた作品。監督のマリア・セーダルが自身の実体験をもとに脚本を書き上げた。審査員の満場一致でグランプリに選ばれており、審査委員長の映画プロデューサー澤田正道は「ガンを告知された主人公は決して憐れみも受け入れず、時に観客にとっても目を背けたくなるような態度を見せながらも、死んでしまうことの恐怖と、残されていく子どもたちへの母親としての責任がひしひしと伝わってきます」と本作の魅力を説明。「まさにそこに生身の一人の女性、一人の母親を見ることができます。監督自身がこの主人公と寄り添って『生きる』ということを問いただしているように思えてきます」と高く評価した。

セーダルにとって実に9年ぶりの監督復帰作となった「願い」。ノルウェーの自宅で受賞の報を受けたという彼女は「私の個人的な体験を映画作品にするのは非常にチャレンジングなことでした。賞をいただけたのは、この物語が感情的にも文化的にも国境を越えられたのだと思います。少なくともそう信じています。大変勇気付けられました。作品に関わったすべての者がこの受賞を誇りに感じると思います」とコメントを寄せた。

「ザ・ペンシル」 (c)Salt Studio, (c)Fortissimo Films

「ザ・ペンシル」 (c)Salt Studio, (c)Fortissimo Films[拡大]

ナタリア・ナザロワが監督を務めたロシア映画「ザ・ペンシル」は、映画祭初の快挙となる監督賞と審査員特別賞のダブル受賞を果たした。主人公は政治犯の夫を追って地方の村にやってきた女性アントニーナだ。美術教師として働く彼女が暴力に立ち向かう術としてアートの魅力を説き、閉鎖的な村社会に波紋を呼んでいく姿が活写される。審査員の三島有紀子は「世界中に蔓延している『見たくないものを見ない』という気分に対し、『見なくてはいけないものをきちんと見ていくんだ』『いまの社会で力強く生きていくんだ』という監督のメッセージが本当に力強く届いてきた」と選評した。

「コントラ」 (c)2020 KOWATANDA FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.

「コントラ」 (c)2020 KOWATANDA FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.[拡大]

「stay」 (c)東京藝術大学大学院映像研究科

「stay」 (c)東京藝術大学大学院映像研究科[拡大]

国内コンペティションでは、長編部門で「コントラ」、短編部門で「stay」がそれぞれ優秀作品賞を獲得。国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督の作品に贈られるSKIP シティアワードは、串田壮史の「写真の女」が受賞した。

そのほかの受賞結果は下記の通り。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020(第17回) 受賞結果

国際コンペティション

最優秀作品賞(グランプリ)

「願い」(監督:マリア・セーダル)

監督賞

ナタリア・ナザロワ(「ザ・ペンシル」)

審査員特別賞

「ザ・ペンシル」(監督:ナタリア・ナザロワ)

観客賞

「南スーダンの闇と光」(監督:ベン・ローレンス)

SKIP シティアワード

「写真の女」(監督:串田壮史)

国内コンペティション

優秀作品賞(長編部門)

「コントラ」(監督:アンシュル・チョウハン

優秀作品賞(短編部門)

「stay」(監督:藤田直哉

観客賞(長編部門)

「コーンフレーク」(監督:磯部鉄平

観客賞(短編部門)

ムイト・プラゼール」(監督:朴正一

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