なら国際映画祭開幕、河瀬直美や新アンバサダーの永瀬正敏が集結
2020年9月18日 23:23
9 映画ナタリー編集部
なら国際映画祭2020のレッドカーペットとオープニングイベントが、本日9月18日に奈良・東大寺大仏殿と春日野園地で開催された。
2010年に河瀬直美が立ち上げたなら国際映画祭。エグゼクティブディレクターの河瀬はオープニングイベントにて「コロナ禍で開催を決意したのには大きな2つの理由があります。1つは、こうした分断を経験した人の心には闇が生まれる。その闇が伝染する前に、映画の力で人々の心に光を届けたい、そう信じたからです。もう1つは、そんな(映画祭の)世界を経験した10代の人に『この世界は美しい』という心が宿ると思うからです」と語った。
インターナショナルコンペティション審査員である映画監督の行定勲は「ここに選ばれた8作品の海外の監督たち、本当だったらここに来たかったであろう監督たちの思いをスクリーン上でまっすぐ見つめて、しっかりと審査させていただければ」と意気込みを語った。また審査員長を務めるシンガポール人監督のエリック・クーがオンライン登壇したほか、審査員の脳科学者・中野信子も挨拶を行った。
学生の手がけた作品を対象とするナラウェイブ部門では、河瀬監督作「Vision」をプロデュースしたマリアン・スロットが審査員長を務めるほか、俳優の渡辺真起子が審査員に名を連ねた。「審査を通して未来に明るい光や希望を見つけられたら」と話す渡辺は、「コロナ禍で初めて映画祭に参加して、観客の皆さんに出会えて、場所も素晴らしくて、感激してしまった」と声を震わせる。また自身が行っている、コロナ禍でミニシアターを守るための取り組みについて「10年後、20年後も映画が観客に出会える場所が残っていますように、という思いで活動を続けています」と述べた。
さらに後半には、スペシャルゲストのMIYAVIが登壇。急遽娘とともにレッドカーペットに登壇することになったというMIYAVIは、娘の衣装をあわててZARAでそろえたと暴露し笑いを誘う。そしてコロナ禍の状況を踏まえ「僕たちがなぜ音楽をやっているのか、なぜアートをやっているのか、なぜ映画を作っているのかを改めて問われている気がする。発表の場が限られている中で、評価の基準も変わってきている。こういった映画祭を通じて、若い子たちの作品を前面に押し出す機会は、これから先もっと大事になってくるんじゃないかと思います」と語った。
最後に、俳優の永瀬正敏が、映画祭のアンバサダーに就任したことがサプライズ発表された。まず先に登壇した初代アンバサダーの斎藤工は、奈良の自然の中で映画作りをするという河瀬のポリシーを紹介し「コロナ禍で僕らが足を止めたことで人間以外の生物がいきいきとしている。僕らがいかに人間ファーストでやってきたかを痛感し、河瀬さんの言葉を思い出しました。また個人的な話をすると、自粛期間に僕を救ってくれたのは映画でした、僕らはもっと自然のサイクルの中で映画を作り、新しい映画様式を打ち立てていくべきなんじゃないかと感じました」とスピーチした。そして斎藤に呼び込まれた永瀬は「僕にとってなら国際映画祭は特別な場所。前回参加したときに突然おふくろが倒れて、永眠してしまいました。おふくろが最後に思いを飛ばしてくれたのがこの映画祭。そこのアンバサダーに選んでいただきうれしいです」と挨拶。最後に永瀬が「工くん、(アンバサダーを)辞めるわけじゃないよね?」と聞くと、斎藤は「あ、増えていく制度で……」と返して笑いを起こした。
なら国際映画祭2020は、9月22日まで奈良市内で開催される。
※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記
※記事初出時、一部表現に誤りがありました。お詫びして訂正します。
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