本作はテレワークやリモート会議など従来の働き方が変わっていく世相を反映して、“9時5時勤務”や残業ゼロという勤務体系で事件を解決していく刑事ドラマ。主人公・広橋航は働き方改革で突如得ることになったアフター5を利用して、料理教室にダンス教室、オシャレな飲食店など、これまで踏み入れたことがなかった世界に飛び込む。そして、その体験がやがて事件の真相へとつながっていく。
鋭い観察眼を持ち“捜1のハシビロコウ”と呼ばれる刑事・広橋には、ドラマ初主演の尾上菊之助が扮した。「下町ロケット」「グランメゾン東京」などで存在感を放ってきた菊之助は、本作で初の刑事役に挑むにあたり徹底的に警察に取材。また歌舞伎一筋で来た彼は、アルゼンチンタンゴの世界に足を踏み入れた感想を「踊りという同じジャンルですが、日本舞踊とリズムの取り方が異なり、とても難しかったです。タンゴの先生も教えるのにすごい苦労されたと思います……。ですが、アルゼンチンタンゴのシーンはかなり面白いと思いますよ(笑)」と語っている。
本作では「咲-Saki-」シリーズの森ハヤシが脚本を手がけ、ドラマ「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」の
ドラマスペシャル「刑事アフター5」
テレビ朝日系 2020年10月1日(木)20:00~21:48
尾上菊之助 コメント
2時間の刑事ドラマというと、スリルとサスペンスを感じるシリアスな作品を想像していたんですけれども、今回いただいた脚本を拝見した際に、「あれ? これはシリアスではなくてコメディーなのか?」と思いました。もちろん謎解きや推理の部分はあるんですけれども、かなりコメディーの要素も含まれていたので。さらに、働き方改革が鍵となるストーリーとなっていますし、非常に斬新な脚本で惹き込まれました。
これまで企業の社長やシェフなど、自分がやってこなかった職業を経験してきましたが、刑事役は初めてで、ドラマといえどもリアリティーがないと表現できないので、まずは警察の方にいろいろお話をうかがいました。警察は治安を守る方たちなので、「働き方改革なんて言ってられないですよね?」と聞いたら、意外にも「いや、そうじゃないんです。警察の中でも働き方改革には厳しくやっていて、それはリアルな話なんですよ」とおっしゃっていて。それを聞いて、この作品は架空の話だけではなくて、実際に起きている話なんだと理解し、空想の世界の中でもより現実に感じることができました。主演=真ん中に立たせていただくというのは、なかなかできない経験ですし、このような機会をいただいたのも貴重なことなんですけれども、ことにそれを意識することなく、共演者の方たちにお任せして共演者との空気を大事に、現場にいさせて頂きました。
今回演じる広橋航という人物は、今まで犯人逮捕のためなら時間も問わない、少し古いタイプの価値観も持った男なんです。それが、新しい価値観を受け入れていって変化していくというところも見どころの一つです。今まで仕事一本だった人間が家庭での時間を取り戻したり、今まで班のみんなに任せられず自分がいないとダメなんだと思い込んでいたのが、限られた時間の中で班のみんなに任せ、信頼を築いていったり。また、無趣味だったのに、事件をきっかけにアルゼンチンタンゴの世界に触れて、最初は捜査のつもりがどんどんのめり込んでいく──
もちろん仕事に没頭するというのも大事なんですけども、余裕やゆとりを持つことで事件解決につながっていくんだっていう重要な鍵を担っているので、働き方について考えさせられましたね。
アルゼンチンタンゴのシーンはかなり面白いと思いますよ(笑)。アルゼンチンタンゴは、体の軸という意味ではきっと日本舞踊と一緒なんだと思うんですけど、ポジションがぜんぜん違いますし、もちろん間の取り方も違います。自分はぜんぜん踊れませんでしたし、タンゴの先生も教えるのにすごい苦労されたと思います……。
この作品はサスペンスの謎解き要素もあり、刑事ドラマのしっかりした部分も楽しめながら、コメディーの要素も入っていますので、老若男女問わず家族そろって肩の力抜いてみていただけるドラマになっていると思います。ぜひ家族そろって見て笑っていただければと思います。
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