南杏子の小説をもとにした本作。救命救急医として大学病院で働いてきた医師・白石咲和子が石川の実家へ戻り、在宅医療を通して患者と向き合うまほろば診療所で働く姿が描かれる。
咲和子役の吉永は「通称“ドクターS”でございます」とお茶目に名乗り、「(このような状況下で)クランクインできるかドキドキしていましたが、キャストもスタッフもパワー全開でやっております。温かく見守ってください」と挨拶する。このたび122本目の出演作にして初の医師役に挑戦。「7、8年前に成島監督と一緒に何かやろうと話した際、監督の『孤高のメス』が好きだったのでドクター役は?と伺ったんです。でもなかなかぴったりの作品がなくて。今回はうれしいです」と心境を語り、「命の大切さや、どう生きるか、どのように命を“しまう”か。そういったことを真正面から描きたいですし、患者さんの思いを受け止められるようなドクターを演じ切りたいです」と意気込んだ。
松坂は、咲和子を追ってまほろば診療所で働き始める元大学病院事務員・野呂聖二役で出演。吉永との初共演に「大変緊張しております」と背筋を伸ばし、「いつか吉永さんとご一緒したいと思っていたので本当にうれしくて。どのようにお芝居され、役を作るんだろうと興味があり、日々勉強させていただいております」と現場での様子を語る。診療所を支える訪問看護師・星野麻世役の広瀬も、初共演の吉永に「現場でも1つひとつ丁寧で、それが芝居ににじみ出ています」と尊敬のまなざしを向ける。咲和子に対して強く出るところもある役柄のため、そのようなシーンでは「ビビりながらやってます(笑)」と打ち明けて吉永と笑い合った。
診療所院長・仙川徹に扮する西田は「天国の駅」「天国の大罪」で吉永と共演している。西田は「吉永さんといると心が“天国”でした」と当時を述懐。本作の現場も「天国です」と幸せそうに表現し、「吉永さんは役柄によって現場をリードするときもあれば、そっと俯瞰しているときもある。自在に視線を向けていらっしゃるんです」と“座長”のたたずまいに言及する。みなみは診療所スタッフの休息の場・BAR STATIONのマスター・柳瀬尚也役で、約43年ぶりに映画に出演。「この映画の根底にある大きなエネルギーを見つけ、これは俺がやってやろうという気持ちになりました」と出演のきっかけを説明した。
成島は「ふしぎな岬の物語」で吉永と組んだのち、2017年に肺がんを患った。闘病のため現場を離れている間、入院中に吉永からお守りと手紙が届いたと話す。「涙が出るほどうれしくて。必ずよくなってもう一度吉永さんとご一緒するぞという思いで闘病しました。体調が戻った頃に本作のお話をいただき、願えば届くんだなと感激したのが(制作の)スタートでした」と思いを込めて語った。また本作について「死を描くテーマだけど、生をどう描くかも大きなテーマになっています。松坂さんとすずちゃんが太陽のように明るく照らしてくれて、重鎮たちも素晴らしい演技を見せている。監督として本当に幸せな日々です」と喜びを口にした。
また会見の冒頭では、東映の代表取締役社長・手塚治より挨拶が。本作に出演している
伊勢谷と初共演し、すでに共演シーンも撮っている吉永は「伊勢谷さんは脊髄損傷の四肢麻痺を患い、咲和子に『自分をよみがえらせてほしい』と頼む患者の役です。お互いに思いをぶつけていいシーンが撮れたと思っています。報道を知って残念な思いでいますし、事実がわからない部分もありますが、乗り越えてまた撮影の現場に帰ってきてほしいです」と思いを吐露した。
「いのちの停車場」は2021年に全国で公開。
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🐦なげき🐦 @nagekinoumi
伊勢谷友介出演部分もカットせずに公開か。さすが東映!
「いのちの停車場」吉永小百合が医師役に歓喜、松坂桃李と広瀬すずは現場の“太陽”に(写真23枚) https://t.co/JeHxxxyAAj