「
1982年のメキシコシティを舞台とした本作。高級地区ラスロマスの豪邸で実業家の夫や3人の子供と満ち足りた生活を送っていたソフィアの生活が、経済危機により崩壊していくさまが描かれる。
アレハンドラ・マルケス・アベヤは「日本で公開されることに興奮しています」「ご覧になった皆さんの感想を知りたいです。メキシコから愛を込めてありがとう」、ソフィア役のイルセ・サラスは「『グッド・ワイフ』を楽しんでいただけますように。そして、どうぞ安全でいてね!」と呼びかけた。なお2人は来日する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止となっている。
また、本作を鑑賞したIVANは「正にメキシコ版のバブル崩壊の時代。日本だけではなく、私の母の祖国でも起きていた煌びやかな女達のマウンティング合戦に受け入れ難い転落の人生...お姫様なプライドと現実に苦しむ様。初めから最後まで休むことなく心が動いた作品でした」とつづる。
メキシコ映画「グッド・ワイフ」は、7月10日より東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開。
IVAN コメント
とても皮肉的で美しく、強くて儚い女性達のお話。
作家のマリア・グアダルーペ・ロアエサ・トヴァールの小説は私のメキシコ人の母も大好きで愛読者です。
原案「Las Ninas Bien」は何度か手に取り読んだ事があります。
その頃は難しいお話だなと3ページ程で読むのを止めましたが、この作品を見て、改めて母に小説を借りたいと思うほど、この作品の伝えたい背景を更に知りたいと思った1作。
正にメキシコ版のバブル崩壊の時代。日本だけではなく、私の母の祖国でも起きていた煌びやかな女達のマウンティング合戦に受け入れ難い転落の人生...お姫様なプライドと現実に苦しむ様。
初めから最後まで休むことなく心が動いた作品でした。
勿論、80年代の派手さのなかに上品で高貴なファッション、美しい映像にも目が奪われた作品です。
シシド・カフカ コメント
一度ガラスの靴を履いた女は
二度と脱げず
ひび割れも許されないのか
自らの決意と共にその靴を脱いだ時
女はきっと
ずっと強くなる
SYO(映画ライター)コメント
恐ろしい映画だ。
富を奪われ、地位を失い、加速する斜陽。品性が削り取られ、顔を出す狂的な美。
100分かけて、人が順調に壊れていく。
今や、この「没落」を遠い国の出来事と思えない。すぐそこに、在る。
辛酸なめ子 (マンガ家 / コラムニスト)コメント
グループの女王様はもしかしたら本当は弱くて幼い存在なのかも...と気付かせてくれた重要な作品。インナーチャイルドの萎縮のエネルギーが浄化されました。
立田敦子(映画ジャーナリスト)コメント
お金と権力を握る男に寄り添うことでステイタスを得る。
今も脈々と引き継がれる“女の処世術”がいかに危うく、愚かしいことか。
“あるある”満載の80年代のセレブ妻の喜劇は、
私たちがよく知っている悲劇でもある。
野谷文昭(東京大学名誉教授 / ラテンアメリカ文学)コメント
何かを買うのは、それが必要だからというよりも、買える喜びを味わうため。
そして他人と差をつけ、優越感を味わうため。
だが経済危機がその喜びと優越感を反転させてしまう。
主人公ソフィアはこの危機的状況に耐えられるのか。
藤岡篤子(ファッションジャーナリスト)コメント
時代を超えて輝きを放つラグジュアリーの真髄。
優美さに包まれた栄光の日々は過ぎ去り、訪れるであろう未知の世界。
様々な意味を鏡のように投影しながら、震える蝶の羽ばたきのように微かに、
だが確実に飛び立とうとする女性の姿が、ここにある。
山崎まどか(コラムニスト)コメント
美しいメイクがひび割れていくように、白いテニスウェアが汚れていくように、完璧な生活が足もとから崩れていく。一人の女の夢物語の残酷な終わりに、当時のメキシコ経済の危うさが重なって、スリリングでした。
よしひろまさみち(映画ライター)コメント
浮世離れしたセレブ妻の壮絶マウンティングと、スーパー現実的な経済破綻。そのどちらもまじめに描いているからこそ、リッチ生活とプライドの高さが空虚に映る。
映画ナタリー @eiga_natalie
「グッド・ワイフ」イルセ・サラスのメッセージ公開、シシド・カフカらのコメントも
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