これは、本日7月4日に大阪・Loft PlusOne Westで行われた製作発表会見で明らかになったもの。「22年目の告白ー私が殺人犯ですー」「AI崩壊」など近年は商業映画を中心に手がけていた入江にとって、「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」以来の自主制作作品だ。あらすじはまだ明らかになっていないが、地方都市を舞台に25歳の女性を主人公とした物語がつづられる。すべてのキャストは現在進行中のオーディションで選ばれ、7・8月を制作準備、9・10月のうち約3週間が撮影にあてられる予定。7月下旬には、制作費の一部を募るクラウドファンディングがスタートする。入江は「原点回帰という意味も込めて地方都市を描こうと思っています。自主映画でなければ撮れない題材にしたいと思っていて、パーソナルなものに寄った映画にしたいと考えています」と話した。
制作を決断した背景として、入江は今年実施を予定していた映画・ドラマの撮影が、新型コロナウイルスの流行によって中止になったことを明かす。「映画のほうは3、4年がかりで準備していた時代物の大作で、資料を300冊ぐらい買い込んで、めちゃめちゃその時代について調べていました」と悔しさをにじませ、「膨大な資料を家で片付けていたら涙が出そうになっちゃって(笑)。段ボールに入れるぐらいなら、新たなことに向かいたいと思ったんです」と語る。また、「映画監督って意外と肉体労働なので、足腰が弱ると仕事ができなくなるんです。今40歳なんですが、今撮らないと撮れなくなるんじゃないかという気持ちも、作ろうと思い立った理由です」と述べた。
また全国に点在するミニシアターの数々が、コロナ禍に端を発した臨時休館や販売座席の縮小などの窮地に陥ったことも、理由の1つとなっているという。監督作「SRサイタマノラッパー」で全国のミニシアターを回った経験がある入江は、4月にミニシアターが置かれている窮状をブログで訴え、政府に緊急支援を求めるSAVE the CINEMAの呼びかけ人にもなっている。入江は「コロナ禍で苦境に陥った全国のミニシアターをもう一度巡りたい。満席の映画館を作り、映画館の熱をもう一度取り戻したい」と力強く語った。会見では、本作の始動に寄せられたミニシアター支配人らの応援コメント・映像も紹介された。
制作においては、新型コロナウイルスの感染予防対策を充分に行うことも説明。入江は「具体的に言うと、キスシーンも俳優同士が抵抗があると思うし、アクションシーンも怒鳴って殴り合っていたらつばが飛ぶと思う。1つずつ検証しながらの撮影になると思います」と話す。観客からは「打ち合わせすら感染のリスクが伴う。これまで経験してきた制作とは全然違うと思うが、どういう形になるのか?」という質問が寄せられた。入江は「感染症専門のお医者さんと、どう線引きすれば安全なのかということについて定期的にミーティングしています。いくつかのガイドラインを守りながらの撮影になると思います。また、『AI崩壊』のときは延べ1万人ぐらいのエキストラさんに協力してもらったんですが、今後数年、大勢でのシーンは難しくなるのでは」と見通しを伝えた。
なお「シュシュシュの娘」の告知ムービーは、YouTubeで公開されている。
入江悠の映画作品
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磯田勉 @isopie_
入江悠の新作自主映画は「シュシュシュの娘」、会見で「ミニシアター巡りをもう一度」 https://t.co/5O5r8Eb0Mo