富山のテレビ局・チューリップテレビが地方政治の不正に挑むさまを追ったドキュメンタリー「
2016年8月に放送された同局のニュースをきっかけに、市議14人をドミノ辞職に追い込んだ「富山市議会の政務活動費不正を巡る調査報道」。この報道によって同局と報道チームは2017年度の日本記者クラブ賞特別賞、第54回ギャラクシー賞報道活動部門の大賞などを獲得し、一方の富山市議会は政務活動費の使い方について厳しい条例を制定した。3年間の取材を重ねた本作では、番組放送後の議会と議員たちの姿が映し出される。
当時チューリップテレビで不正調査の報道に携わった
砂沢は「『はりぼて』で描いたのは『人間の弱さ』です。絶大な権力を振るった市議会の『ドン』は、辞職後に自らの不正を告白します。『遊ぶ金が欲しかった』その告白は生々しいものでした」と振り返り、「地方議会への関心を高め、市民生活の向上につなげたい。この映画がそのきっかけになればと願っています」と思いを込めた。
「はりぼて」は東京・ユーロスペースほか全国で順次ロードショー。
五百旗頭幸男 コメント
かつて、議会をチェックし不正を暴き続けた私たちメディアは、期せずしてその姿を見失いました。
不正が発覚しても、毅然として責任を取らなくなった市議たち。彼らにぶつけた厳しい言葉の数々が宙をさまよい、無力感となって戻ってきました。「はりぼて」があぶり出すのは、議会と当局の姿だけではありません。それらを許し、受け入れてきたメディアと市民を含む、4年間の実相です。
私が退職を告げたシーンをめぐっては、制作陣で数日間の議論になりました。口を挟まず結論を委ねました。
「自分たちのかっこいい姿だけを描いても信頼は得られない。それこそ、はりぼてだ」
「弱さを隠さずに見せることは強さを示すことでもあり、再生につながる」
信頼を寄せる人たちを傷つけ、彼らの覚悟と信念に背中を押され、この映画は生まれました。胸に広がった鈍い痛みは消えそうにありません。「はりぼて」の矛先は、実は自分自身にも向けられていたのです。
砂沢智史 コメント
富山市議会の不正問題は発覚から4年が過ぎました。
辞職した市議は裁判をへて、新たな人生をスタートしています。
そんな中、今これを映画として世に出し、彼らの過去を掘り返すことは許されるのか?
その悩みは今も抱えています。
富山県は全国一の自民党王国。県内の市町村議会や県議会においては自民党単独での議案の可決が可能で、その勢力は圧倒的です。それは、「1強他弱」と呼ばれる国政を表す縮図と言えます。
「はりぼて」で描いたのは「人間の弱さ」です。絶大な権力を振るった市議会の「ドン」は、辞職後に自らの不正を告白します。「遊ぶ金が欲しかった」その告白は生々しいものでした。
高い志を持って政治家になっても、組織の論理に押し流されてしまう現実もある。市民から見られている緊張感がなければ心は緩み、甘えや驕りを生む。
地方議会への関心を高め、市民生活の向上につなげたい。
この映画がそのきっかけになればと願っています。
五百旗頭幸男の映画作品
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