「
1993年の山形マット死事件や2015年の川崎市中1男子生徒殺害事件などに着想を得た本作は、内藤が自主制作映画として8年ぶりに完成させた作品。このたび本作に込められた思いに賛同した著名人と内藤がリモート対談を実施した。
押見とは「毒親」、NPO法人WorldOpenHeart理事長・阿部恭子とは「犯罪加害者家族の支援」、いじめ問題研究の第一人者として知られる明治大学文学部准教授・内藤朝雄とは「学校からいじめを減らす方法」、映画批評家・相田冬二とは「映画の『罪』と『罰』」をテーマにトークが展開された。それぞれの対談動画は内藤のYouTubeチャンネルで、本日5月27日から30日にかけて公開されていく。
さらに本作を鑑賞した著名人のコメント入り予告もYouTubeで公開中。リモート対談を行った4名に加え、
「許された子どもたち」は6月1日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。
押見修造 コメント
自分はかつて、みんな死んでしまえ、と社会を呪いたい気持ちを抱えた子供だったが、今は親になった。
この映画を観て、あの頃の自分に自分の子供を殺されたような気持ちになった。とても後ろめたくて謝りたくなった。
自分もまた、心に蓋をして、「こうしなければ生きてこれなかった」と言い訳をして生きてきた人間だから。
それでもこの映画は、どこか愛おしくて抱きしめたくなるような気持ちにもさせられる。
阿部恭子(犯罪加害者家族を支援するNPO法人理事長)コメント
もし、子どもが人を殺したら─。その事実をすぐに受け入れられる人などいない。本作品では、愛と正義が問われている。親子関係では「愛」として正当化される支配。社会では、「正義」として正当化される加害者やその家族に対する嫌がらせ。社会的制裁は刑罰より残酷で終わりがない。多くの人は真実から目を背け、無責任に少年を追いつめる。少年はどこへ向かうのか。罪から逃げ切れるのか。
内藤朝雄(明治大学文学部 准教授・社会学者)コメント
「パリの敷石の下は土だ」という言葉がある。この作品は、人間の命は尊いという現実感覚を、パリの敷石をひっぺがすようにして、いったん、はぎとる。そして人間であるというだけでは虫けらと変わらないという「敷石の下の土」を露出させる。いじめられ体験から跳ね返ってタフになったこの私(加害少年)とか、乳児から育てた我が子に比べれば他人の子は虫けら同然(加害少年の母)、といった生々しい「土」である。観る者は、この「土」から人間の尊厳に立ち返る道を奥底から求めずにおれなくなる。
相田冬二(映画批評家)コメント
息が詰まるような、いまこのとき。
理不尽で矛盾だらけの、いまこのとき。
それでも、どうにかして呼吸する術がある。
それでも、くたばらずに生きのびる方法が残されてる。
忘れるな。おれたちには、映画がある。この映画がある。
関連する特集・インタビュー
関連記事
内藤瑛亮の映画作品
リンク
関連商品
内藤朝雄 @naitoasao
「許された子どもたち」内藤瑛亮、“毒親”や“いじめ”テーマに押見修造らと対談(動画あり / コメントあり) - 映画ナタリー https://t.co/8i8mkFqOZb