徳島国際映画祭2020のコンペティション受賞作品が、4月3日に発表された。
同映画祭は前夜祭を含め3月26日から29日に開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止に。今年は新たな取り組みとして「青春」をテーマとする映像作品のコンペティションが行われ、全国各地から170作品の応募があった。このたび映画祭では、事務局による1次審査、映像クリエイターら4名による2次審査を経て受賞作品を決定した。
グランプリ作品は、大阪出身の山岡聡が監督を務めた「
準グランプリには2作品が選出された。
審査員の映画監督・
徳島国際映画祭2020 コンペティション受賞結果
グランプリ
「はらいそクラブ」(監督:山岡聡)
準グランプリ
「グラフィティ・グラフィティ!」(監督:松尾豪)
「多日想果」(監督:大門嵩)
長澤雅彦 総評
「承認欲求と表現の狭間で」
最終選考に残った作品のレベルの高さに驚きました。中にはプロの映像演出家(スタッフ参加)の作品もチラホラ見受けられ、技術力も高いんだけど、共通して感じたのは誰に観てほしいのかな?或いは観て欲しくないのかな?ということ。まさか観て欲しくなくて作って、さらに映画祭に応募までしてきたらかなり「どうかしてる」人なんだけど。
昨今撮影や編集の機材は高性能かつ安価になって、その機材力で結構「映画っぽい」画が撮れたりして、なんか目指してたもの以上の物が撮れた気になっちゃったりして…。でもそこで止まっちゃってる映画がすごく多いなと。もっと自分の表現とか本来やりたかったもの(それがどんなに稚拙なものだっていいじゃないか!)に意識的になってほしいな、と思いました。
川井憲次 総評
今回の映画祭に参加された皆様、お疲れ様です。ご応募された作品はどれもが新鮮で、これからまたどんな作品が生まれるのか、楽しみで仕方ありません。
私は映画にとって重要なのは、ストーリーや映像、音楽はもちろんですが、ダイナミックレンジの広さと考えています。それはメジャーハリウッド映画のような、お金をかけたドハデな映像という意味ではありません。極端に言えば、こたつで延々とみかんを食べるだけの作品でも、ダイナミックレンジの広さを観客に感じさせることが可能と思っているんです。
もちろん私は演出家ではありませんし、その方法論も星の数ほどあるでしょうから、ここで詳説はできません。しかし、心にいつまでも残る作品は、そのダイナミックレンジ感が少なからずあったと個人的には思うのです。そこで今回は、そこをポイントとして選ばせていただきました。
しかし、延々こたつでみかんを食べるだけの映画……ちょっと観てみたい気もw
福岡利武 総評
コロナウイルスでの徳島国際映画祭の中止は、もちろんやむない判断であり私も賛成です。しかし、誠に残念でなりません。徳島国際映画祭2020の応募作品がとてもおもしろかったからです。「青春」というテーマの映画の数々は、本当に素敵でした。ドキドキの青春、モヤモヤの青春、迷走する青春、必死な青春、もがき苦しむ青春。青春っていいもんだなぁ……。
僕も30年前の徳島で、複雑な感情でとまどいながら青春に飲み込まれたことをまざまざと思い出しました。まぁ、はたから見たら、スポーツもできず、勉強もできず、モテもしない、ぱっとしない青春でしたが……。ほっといてちょうだい……。
さて、映画を多くのみなさんといっしょに見たかったなぁと思いました。大きな劇場公開作品ではない映画もとてもおもしろい映画がたくさんあります。この素敵な映画体験を、来年こそ!
極東新天地 @kyoku_shin
徳島国際映画祭2020のコンペ受賞作が決定、開催中止も審査員により選出(コメントあり) https://t.co/wYb9donulr