「この世の外へ クラブ進駐軍」のQ&Aが本日11月30日に東京・有楽町朝日ホールで行われ、キャストの
第20回東京フィルメックス内「特集上映 阪本順治」の1本として上映された本作は、2004年に公開された青春音楽ドラマ。終戦直後の東京を舞台に、アメリカ進駐軍を相手にジャズを演奏する5人の若者が音楽を通じて成長し、かつての敵兵に心を開いていくさまが描かれる。オダギリは劇中で若者たちが結成するバンド“ラッキーストライカーズ”のドラマー・池島を演じた。
本作で描かれる戦後について阪本は、藤山寛美の言葉を回想。「『戦後の敗戦処理をしているときが一番平和だった』とおっしゃっていたんです。平和、と言うのとはまた違うかもしれませんが、少なくとも防空壕に入ることもなく、逃げることも、泣く恐怖からも解放されている。なんとか次の生活をよくしようと前向きになっている人たちを描こうと思っていました。当時の生活に笑いがなかったかと言われれば、そうではないですよね」と語った。
観客とともに本作を鑑賞したオダギリ。「自分は昨日のこともあまり覚えていないタイプ。15年前の記憶はほぼゼロです」と話し、「初めて観る映画として観られました。本当によくできた映画、すごいなあと思います」と本作の感想を述べる。バンド仲間を演じたキャストとの練習の日々について問われると、「中学時代からドラムはやっていたので、慣れていないように演奏することが難しかったです。みんなと何カ月もかけて練習して、スタジオで合わせて成立するぐらいのレベルまで持っていきましたね」と振り返った。オダギリがドラム経験者であることを知らずに出演をオファーした阪本は、「チクショー!と思いましたね。楽器初心者のキャストたちが苦労して練習しているのを、横から冷ややかに見ようと思っていたのに」と明かし、観客を笑わせた。
本作のほか、「人類資金」「エルネスト」でもタッグを組んだオダギリと阪本。観客から「それぞれ、お互いをどのような俳優・監督だと思っていますか?」という質問が投げかけられると、阪本は「エルネスト」の撮影を例に挙げ「あの撮影をやりきってくれたことで、僕にとって一番信頼できる俳優さんになりました。あれ以上の苦労はなかなかないと思うけど、彼ならやり遂げてくれるという信頼がありますので、また困難な仕事を一緒にやりたいと思います」と答える。
「ある船頭の話」で長編映画監督デビューを飾ったオダギリは「阪本監督には役者として感じることと、監督として感じることという2つの思いがありますが、共通して言えるのは、とても自分に厳しい方だということ」とコメント。「映画とは身を削りながら誠意を込めて向き合わなければいけないということを教わりましたし、初心を思い出させてくださる監督です」と阪本への思いを述べた。
第20回東京フィルメックスは、明日12月1日まで東京・有楽町朝日ホールほかで開催。
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