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「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、葛飾区柴又を主な舞台とした「男はつらいよ」シリーズの50作目にあたる最新作。山田、秋本、高橋は3人そろって名誉葛飾区民という共通点があり、司会進行を務めた青木は「発展しましたが人情は残っています」と町の魅力を伝えた。
「男はつらいよ」の撮影のたび、ロケハンや撮影で1作品につき幾度も葛飾へ足を運んだと振り返る山田。「自分の故郷に年10回も20回も帰る人はいませんよね。だから葛飾、特に柴又は故郷と同じようなもの。その街で50作目を作ることができてよかったです」と感慨深さをにじませ、「50年かけて今回の映画を作ったように感じます。普通にできることではないし、長生きしなければできない。今までもこれからも、こんな作品は二度とないんじゃないかと思います」と誇らしげに語る。
秋本は、いちファンとして「男はつらいよ」の好きなポイントに言及。「寅さん(主人公の車寅次郎)が旅行するのが好きなんです。僕も旅行は好きだけどなかなか行けないから、そのぶん寅さんが行ってくれる」と声を弾ませる。どの作品もストーリーは頭に入っているため、最近は鉄道など背景に注目しながら観ているという秋本。「北海道編では、映画の撮影だからと現地の人が蒸気機関車をピカピカに磨いちゃったんですって。でもわざと汚してくださいと言えないのが山田監督の優しさですよね」と最近仕入れたという裏話を披露し、「何度も何度も楽しめるのがDVDのよさです!」と繰り返し観ることを観客に勧めた。
葛飾区出身の高橋は「子供の頃から『葛飾ってどんなところ?』と聞かれると、『男はつらいよ』の舞台だと説明するのが常で。(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の)両さんがいるところとも答えていました。その両巨頭のお二人とこの場にいられることが幸せです」と恐縮する。また「寅さんは誰にでも愛されるキャラクター。そういう意味でも僕たちマンガ家は参考にさせてもらっています。寅さんは破天荒な面もあるけれど、単純な正と悪じゃない、人間の生き方みたいなものを感じるところが魅力だと思います」と考えを述べた。
それを受け、山田は寅次郎について「優等生の正反対、劣等生ですよ。お金もなければ地位もない。名刺なんか持ってないし、住むうちもないし家族もいない。財産は四角いトランクだけ。頭も悪いし、顔も悪い」ととめどなく悪口を言い放って笑いを起こす。そして「彼のでたらめを含めた自由な発想や行動に魅力を感じ、(妹の)さくらやおいちゃんが顔をしかめたり怒るのを観客は笑いながら観ている。そういう存在が寅さんなんですよ」と分析。また劇中で登場人物が「寅さんみたいになっちゃうよ!」と子供に注意するシーンを例に挙げ、「確かに悪口を言っているけど、寅さんを同じ町民として認めているのがわかるから観客も笑えるんだと思う。おいちゃんたちと喧嘩もするけど、何日かしたら仲直りできる範囲でやっている。コミュニティを作ったり、人間関係を保っていく、そういう面倒くさいことを寅は理解していたんじゃないでしょうか。喧嘩して仲直りしたり、人とつながることが日本人は不得手になってきていると感じますね」と、劇中で描かれる下町の人間模様に思いを馳せた。
「男はつらいよ お帰り 寅さん」は12月27日より全国ロードショー。
※青木克徳の徳は異体字が正式表記
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