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墜落した飛行機に載せられていた重要機密文書を回収するため、エベレスト南部の“デスゾーン”に向かう救助隊「チーム・ウイングス」の苦闘を描く本作。チームの隊長ジアンを役所が演じ、遭難した恋人を探すためチームに加わるシャオタイズ役をチャン・ジンチュー、ヘリパイロットのハン役をリン・ボーホンが務めた。
第32回東京国際映画祭の特別招待作品に選ばれた本作。このイベントも同映画祭の一貫として開催された。役所らはまず野外イベントに出席。シャオタイズを助けるシーンでワイヤーアクションに初挑戦した役所は「僕はあまりうまくなかったので、助けるどころか体があざだらけになってしまいました」と撮影時の苦労を語る。一方チャン・ジンチューは「27時間続けて撮影することもありました。監督は本当に大胆だと思います。役所さんを27時間ワイヤーで吊り下げ続けるなんて、ほかの監督にはできないことだからです」と笑いを起こした。
ユー・フェイは「雪山でのアクション映画ですが、愛のためにどれだけ遠くまで行けるかがテーマです」と作品に込めたメッセージを語る。これまで「M:I-2」「レッドクリフ」などを手がけてきたテレンス・チャンは「最初、この企画を受けるかどうか迷いましたが、監督の才能と映画への誠意に心を動かされました。アクションシーンにはジャッキー・チェンのチームが関わっていて、素晴らしいものになっています」と自信をのぞかせた。
役所と初共演した感想を、チャン・ジンチューは「あるシーンの撮影中、役所さんの脇は(ワイヤーで巻かれていたため)あざだらけだったんです。でも役所さんは何事もないように撮影を終えました。そんなプロフェッショナルな精神に尊敬を覚えましたし、役所さんはまったく愚痴を言わずにニコニコしていたので感動しました」と語る。それを受け役所は「日本語でたくさん愚痴を言っていたので、わからなかったんだと思います」と照れ隠しした。
またリン・ボーホンは、役者6、7人が参加した英語での会話シーンを振り返り「役所さん1人だけが台本を持たずにリハーサルに参加していました。セリフをすべて覚えていたのです。それを見てから僕の中で、役所さんは神のような存在になりました」と尊敬のまなざしを向ける。役所のファンだと明かしたテレンス・チャンは「いろんなジャンルの役を演じられると知っていましたが、想像していたよりも素晴らしい俳優でした。脚本よりも鮮やかなキャラクターを演じることができる人です」と評価した。
続いて5人は、スクリーン内での舞台挨拶に登壇。本作への出演にあたり役所は「アジアの映画祭に参加するとき常に、アジアの国々が力を合わせて映画を作ることがあったらぜひ参加したいと感じていました。各国の映画人が親交を深めることで、アジア映画が面白いものになるのではと思っていたんです」と語る。さらに多くの言語が飛び交っていた撮影現場を回想し「ジンチューさんとリンくんが僕の面倒を見てくれました。特にジンチューさんは中国代表として、各国のキャスト・スタッフに気配りして、リーダーシップを発揮してくれた。美しいだけでなく本当に素晴らしい俳優です」と感謝を伝える。また役所は、リン・ボーホンを「はやしくん」と呼んでいたことを明かして笑い誘った。
本作で初メガホンを取ったユー・フェイは、役所に「テレンス・チャンが見込んだ監督です。将来、大監督になる予感がします。噂に聞いたんですが、彼は女性にかなりモテるそうで(笑)。そこ(女性関係)でつまずかなければ、おそらく中国を代表する監督になると確信しています」と言われて思わず顔を隠す。そして本作の手応えを聞かれたテレンス・チャンは「皆さんが初めてのお客さんです。まずは皆さんの反応を見て判断します!」と、これから映画を鑑賞する観客たちに向けて話した。
「オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁」は11月15日に全国で公開。
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