「ばるぼら」TIFF上映、手塚眞が「“手塚治虫の血”を沸き立たせて撮った」

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第32回東京国際映画祭の「ばるぼら」上映が、本日11月3日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで開催され、監督の手塚眞が登壇した。

手塚眞

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「ばるぼら」 (c)Barbara Film Committee

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手塚治虫のマンガを原作とした本作は、異常性欲に悩まされる売れっ子耽美派小説家・美倉洋介が、自堕落なフーテン女・ばるぼらと出会い翻弄されていく物語。クリストファー・ドイルが撮影監督を務め、日本・ドイツ・イギリスの共同で製作された。稲垣吾郎が美倉、二階堂ふみがばるぼらを演じている。

東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されている「ばるぼら」。本日11月3日は文化の日とマンガの日であり、父・手塚治虫の誕生日でもあることから、手塚眞は「そのような日にこの映画を観ていただけたことをうれしく思います」と挨拶する。手塚治虫のマンガの権利を預かっている手塚眞は、数々の映像化作品に関して「非常にいいものもあれば、これはどうかと思うものもあります」とコメント。そのうえで、今回の実写化のポイントを「原作は大変長いマンガですので、全部映像化すると3時間くらいの映画になってしまいますし、それでは意味がない。観やすい長さに縮めて、かつ大事な要素を残すことに気を付けました」と語った。

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稲垣と二階堂は、本作で多くの濡れ場に挑んだ。2人のキャスティングについて手塚眞は「日本の俳優の方々は、裸体を見せることに対してシャイな人が多いので、脚本を読んだだけで『これはできません』と非常に多くの方に断られました。稲垣さんと二階堂さんは、作品の持つ意味や、誰が作るかということを理解して引き受けてくれました」と話す。そして2人の優れた点について「撮影ではセンシティブな場面も多かったですが、引き受けていただいてからのお二人にはまったく躊躇がなかった」と評価した。

原作マンガには、連載当時に約10歳で触れたという手塚眞。「普通、そのくらいの歳の子供は読んではいけないような雑誌に載っていたのですが(笑)。当然、非常に印象的なマンガとして思い出に残ったわけです。もしかしたら『鉄腕アトム』や『ブラック・ジャック』よりも印象的だったかもしれません」と振り返る。そんな大切な作品を映画化した理由を「自分がもしこれを映画化するなら、心構えができて、実力がついてからと思っていました。プロの映画監督として何本か作品を発表してきて、そろそろこれをやるべきかなと感じたのです」と説明した。

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映像化にあたり、マンガのムードをどの程度意識したのかという質問に、手塚眞は「僕はほかの演出家よりも手塚治虫の血が濃いので、特に意識せずとも自然と原作のムードが出てくるのかなと思います。撮影中、スタッフに『手塚治虫だったらどうするか』と質問されたとき、僕は『無理に原作に戻らなくても、僕の考え方に任せてくれれば大丈夫』と答えました。自分の中の手塚治虫の血を沸き立たせてやれば、それが正解になると思っていたのです」と胸を張って答えた。

続いてはドイルを撮影監督として起用した理由について質問が。手塚眞は、東京を舞台にしつつ異国のような雰囲気を出したかったこと、重要な要素である“街並み”を美しく撮ってほしかったこと、この作品はシンプルに考えるとラブストーリーであることから、男女を美しく撮ってほしかったことといった理由を挙げる。続けて「実は、ドイルさんはプライベートではお酒と美しい女性が大変お好きだと聞いていたので、この物語を気に入るんじゃないかと思ったんです(笑)。脚本を送ったところ、すぐに『やりたい、これは自分が撮るべきだ』と言ってくれて、企画が動き出すまで5年も待ってくれました」と裏話を明かした。

最後に「手塚治虫がこの映画を観たら、なんと言うと思うか?」と質問された手塚眞。「もし父親が生きていたら、必ず『僕も一緒にやる』と言ったと思います。そして彼は自分で脚本を書きたがり、原作とはまったく関係のない話になっていたと思います」と笑いを起こし、「もし彼が製作を手伝わず、この映画を今日観たら何と言うか。きっと『俺だったらもっと面白くしたぞ』と言うと思います。大変負けず嫌いな人間なんです」と続けた。

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(c)2019『ばるぼら』製作委員会

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satoshi shimada @maruomaruo

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