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吉田修一の短編集「犯罪小説集」をもとにする本作は、5編からなる原作のうち「青田Y字路」「万屋善次郎」を組み合わせて脚色したサスペンスドラマ。殺人容疑をかけられた青年・中村豪士を綾野、心に深い傷を負う湯川紡を杉咲、限界集落で暮らす田中善次郎を佐藤、紡に思いを寄せる幼なじみ・野上広呂を村上が演じた。
イベントはベヴィンによる「愛華」のピアノ生演奏からスタート。初日を迎えた心境を尋ねられた綾野は「ようやく作品を皆さんに託すことができるという思いが強いです。もうこれからは『楽園』はご覧になった方のものだと思っています」と真面目な面持ちで思いを口にしたあと「どう虹郎? 何かぶちかましちゃってよ!」と突然、村上に話を振る。それを受けた村上は「(急に)来たー!」とたじたじの様子。「広呂のキャラクターは、宣伝の中ではシークレットなので」と言葉をにごした。
杉咲が「ユップ・ベヴィンさんの曲を聴きながら撮影の日々が走馬灯のようによみがえってきて、自分にとってトラウマのような時間だったなと……」とつぶやくと、すかさず綾野が「我々、トラウマを作ってしまいました!」と苦笑する。杉咲が「私、豪士は人を殺してないと思いながら演じていたんです。でもある日、現場で瀬々さんに『豪士やってるから!』って言われたんですよ。パニック状態になっちゃって」と打ち明けると、綾野も「僕もあれは、えー!?って思いました。芝居が根底からくつがえっちゃうんで」と同意。そして杉咲が「後日、もう1回確認したら、今にも泣き出しそうな顔をしながら瀬々さんが『やってないよ!』って言ったんです!」と訴えると、「瀬々さんは非常に不安定だったんです!」と綾野がフォローしていた。
続く佐藤は「やっと公開することができました」としみじみと述べ、「楽園というのは刺激的な場所と捉える方もいれば、人がいがみ合うことなく穏やかに暮らせる場所だと思う方もいると思います。それぞれの人にとって楽園は違うので、そんなことを考えられる映画を提供できることをうれしく思います」と感慨をにじませた。ユップ・ベヴィンは「音楽を通して、観客の皆さんとつながることができるのは素晴らしい経験だと思います」と満足げな表情を見せる。
本作の主題歌はRADWIMPSの野田洋次郎が作詞・作曲・プロデュースし、上白石萌音が歌う「一縷(いちる)」。曲の感想を問われた綾野は「映画を観終わったあと、この曲が流れた瞬間、大変救われました。感謝しています」と語り、「洋次郎くんからもメールをいただいて、『上白石萌音さんの声じゃなければ、こういう曲になってなかった』と絶賛していたんです」と野田とのやりとりを明かす。「一縷」というタイトルをたたえるのは瀬々。「一筋の光みたいなものが表現されていて、映画を通して野田さんや上白石さんと思いを共有できたのが素晴らしい経験でした」とコメントした。
イベント中盤には観客から質問を受け付けるコーナーも。どんどん壊れていく善次郎を演じるにあたり、どのような点に気を付けて役作りをしたのか佐藤が尋ねられると、綾野が「浩市さん、ほぼ自然体です」と佐藤に代わり即答。佐藤も「普段、鎌を持って現場に行ってるんで」と乗っかり、さらに綾野も「素でやってます。浩市さんの本領発揮といったところでしょうか」と付け加える。気を取り直した佐藤は「どういう状況下で人は壊れるんだろうと、そういう沸点について瀬々さんと相談しながら演じました」と回想した。
最後に綾野は「地方も中央も力を合わせていかなきゃいけないと思ってます。生きる希望を探そうとしている人がいたら抱きしめてあげてください。僕もそのように努めていきたいと、この作品から教わりました。今日はありがとうございました」と客席に呼びかけ、イベントを締めくくった。
「楽園」は全国で公開中。
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