本日10月11日より劇場公開されている、
対談は、2019年7月にヤスミン・アフマドの没後10年特集上映が開催された際、シャリファ・アマニの来日に合わせて行われた。行定は自身が参加したオムニバス映画「アジア三面鏡2016:リフレクションズ」の1編「Pigeon 鳩」で、シャリファ・アマニを起用。ヤスミン・アフマドをリスペクトしているあまり「シャリファ・アマニを自分の映画に出すなんて冒涜じゃないか」と起用を避けていたが、プロデューサーを通じて彼女と会うことになったという。行定は初対面の印象を「映画のフレームを飛び越えて、僕が恋い焦がれたヤスミン・アフマドの何かを彼女自身が担っている、ヤスミンがアマニの個性や人間性を取り込んで映画に生かしている、僕が好きなマレーシア映画、特にヤスミンの映画はこの女性とともにある、そんなことを感じたんです」と振り返った。
初めて観たヤスミン・アフマド作品が「細い目」だという行定は、さまざまな解釈のできるラストシーンに触れて「思い出すたびに涙ぐんでしまうほど素晴らしい。こういう映画を撮れる監督がいるんだと驚きました。悲劇にも見えるけれど、それを超えた部分で愛というものが昇華され、表現される。見事でした」と絶賛。撮影当時17歳だったシャリファ・アマニは「ラストシーンは心が粉々になりました。女優として初めての映画で、監督に『私を使って』なんて言ったのも初めて。日頃はそんなことをするタイプの人間じゃないんだけど(笑)、何かが私をそうさせたんです。脚本を読んで、これは絶対参加しなきゃと思ったんですね」と自身にとって運命的な作品であったことを明かした。
多民族国家マレーシアにおいて、言語や宗教の壁を越えて人々の多様性を描き続けたヤスミン・アフマド。シャリファ・アマニは「ヤスミンのお葬式は映画のようだったんですよ。彼女はムスリムだからモスクでやったんですが、インド人も中国人も、映画人も政治家も学生も、みんながモスクに入ったんです。本当に『unity=1つになること』が感じられました。モスクから霊柩車が出るとき『俺が担ぐ』と言い合いになったりして(笑)。宗教も言葉も関係なく、みんながヤスミンを送りたかったんです」と、彼女が急逝した2009年当時のことを回想する。行定は「ヤスミンの映画には大きな寛容としての優しいまなざしがある。人と人の間にある衝突を解決するヒントがあると思います。もっと日本人に観てほしいですね」と願い、対談を締めくくった。
「細い目」は金城武が大好きなマレー系少女オーキッドと、露店で香港映画の海賊版VCDを売る中華系の少年ジェイソンが、民族や宗教の違いを越えて惹かれ合う姿を描いたラブストーリー。東京・UPLINK吉祥寺、UPLINK渋谷ほか全国で順次公開。
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ヤスミン・アフマドに思い馳せる、行定勲と「細い目」主演シャリファ・アマニが対談
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