「エイス・グレード」YouTuber出身の監督が来日「記憶の映画にはしたくなかった」

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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」のプレミア試写会が、8月29日に東京・ヒューマントラストシネマ有楽町で行われ、監督を務めたボー・バーナムとライターの山崎まどかが登壇した。

ボー・バーナム

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「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」本ポスタービジュアル

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本作は「ムーンライト」「レディ・バード」などで知られるスタジオ・A24が手がけた青春ドラマ。13歳の少女ケイラが不器用で目立たない自分を変えるため、SNSを駆使して憧れの男子や人気者の女子に近付こうとするさまが描かれる。エルシー・フィッシャーがケイラ役で出演。最初は4館という小規模公開だったものの、口コミをきっかけに3週間で全米1084館まで拡大された。

ボー・バーナム

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YouTuber出身のコメディアンであり、俳優として「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」などに出演したバーナムは、今作で初めて映画監督を務めた。まずは制作時に意識したことについて「インターネットを悪として描いている作品が多いように感じます。でもネットは誰かを孤独にさせることもあれば、人と人をつなげることもある。悪いところもあればいいところもあるという、自分がネットに感じていることをそのまま描きました」と述懐。続けて「ネットに対してアンビヴァレントな気持ちになったり、いろいろな問いが増えればいいと思います」と映画がもたらす影響に言及する。

左から山崎まどか、ボー・バーナム。

左から山崎まどか、ボー・バーナム。[拡大]

約10年前にブログでYouTuber時代のバーナムの動画を紹介したことがあるという山崎。「日本でバーナムさんを紹介したのは私が最初だと思います」とにこやかに述べ、バーナムのインターネットに関する考えを掘り下げていく。彼は過去のスタンダップコメディを振り返りながら「終わったあとに13歳くらいの女の子たちがやって来て、『ネット社会の中で自分が見られているような気持ちになる』とさまざまな葛藤を話してくれたんです。私も同じような思いを持っていたので、彼女たちの中に自分を見出しました」とコメント。そして、昨今の社会について「以前はスポットライトが一定数のセレブだけに当たっていたが、今は多くの人に当たっている」と表現した。

またバーナムは「記憶をベースにした映画にはしたくなかったんです」と明かす。その理由を「記憶について描こうとすると自分で取捨選択してしまう。そうするとリアリティが失われてしまいます」と説明。「2019年に13歳の少女であることがどういうことか、私には理解できません。でも、若いとはどういうことか。この時代を生きるとはどういうことなのか。そういったことを描きたかったんです。私の記憶のツアーにお誘いしてるわけではありません(笑)」と映画に込めた思いを語った。

会場に集まった人々と写真を撮るボー・バーナム(手前)。

会場に集まった人々と写真を撮るボー・バーナム(手前)。[拡大]

その後、観客からバーナムの少年時代に関する質問が飛ぶ。バーナムは「ケイラには似ていませんでした。SNSのない、ゲームボーイの時代ですから」と回想。劇中にはプールパーティが登場するが、自身はプールパーティが大嫌いだったと述べ「負け組でしたね」と笑った。

「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」は9月20日よりヒューマントラストシネマ有楽町、東京・シネクイントほか全国で順次ロードショー。

※記事初出時、本文の内容に誤りがありました。お詫びして訂正します。

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