高田郁の時代小説シリーズをもとにしたこの映画は、大洪水によって両親を亡くした澪を主人公とする作品。江戸のそば屋・つる家の店主である種市に助けられ、料理人として働く澪の成長や、幼なじみ・野江との友情を描き出す。松本のほか奈緒、中村獅童の出演がすでに発表されていた。
若村らの出演は、8月28日に東京都内で開催された第2弾キャスト発表会見でアナウンスされたもの。「蒼き狼 地果て海尽きるまで」の若村、「スローなブギにしてくれ」の浅野、「犬神家の一族」など横溝正史シリーズの石坂といった角川ゆかりの俳優と、角川映画のファンだったという藤井が、“角川春樹の最後の監督作”と言われる本作に参加することが明かされた。
8月21日にクランクインした本作。会見に登壇した澪役の松本は、「温かくて優しい物語に、主人公として携わらせていただくことを幸せに思います」と挨拶。料理の監修を受けてから現場に挑んだそうで「筋はあまりよくないかもしれないんですけど(笑)……でもプロの方に教えていただいて、ちょっとは身についていると思います!」とコメントした。
石坂は、つる屋の店主・種市という役に関して「澪が伸びることを見抜いていた人間で、大変いい役なんですけれども、料理が澪よりもうまくないといけないというプレッシャーがありました」と話す。松本の料理の腕前については「まだだしを取らせてやってるくらいなので(笑)。ただ、江戸時代はアルミの鍋なんてないので、澪(松本)はかなり筋肉が付くんじゃないかなと。だんだん力も付いてきているので、格好は一丁前ですよ! やっぱりそこはさすが女優さんだなと思いました。味のほうはわかりませんが」と笑った。
澪が暮らす長屋の住人・おりょう役の浅野は、原作ファンだったそうで「自腹で金払って(本を)買いました!」とぶっちゃけて笑いを起こす。「一読者として、素晴らしい作品だな、双葉文庫かな……と思ったら、おっと角川春樹文庫(ハルキ文庫)!! いい仕事してますねえ、と外から思っていたんです(笑)」と話した。
澪の育ての親・ご寮さん役の若村は、角川が製作総指揮を務めた「蒼き狼」に触れ「私は反町(隆史)くんの母親であり、松山ケンイチくんのおばあさんという役だったんです。私の子供の役をやると、みんな立派になります(笑)。縁起がいいので、がんばりましょうね!」と松本に声をかける。ここ2日ほど松本との共演シーンが続いている若村は「ずいぶん親子の感じが出てきたな、と。(松本の)恋の話を聞いたり……。澪もそのようなことで悩んだりするので、まさに今の穂香さんは澪にぴったりだなと思います」と話した。
戯作者・清右衛門役の藤井は「角川春樹さんが映画界に乗り出さず、ヒロインたちを見つけなかったら、僕の10代はこんなに色鮮やかではなかったと思う」と熱を込める。それだけに現場に入ると緊張してしまうというが「それはしょうがないなと思っています。角川映画ゆかりの方々が集まっているので、現場で『はっ! あの方がいる!』と息をのんでしまうんです」と興奮気味に語った。
角川は「今回ほど楽しい現場は初めてです。現場でたくさんの料理を作っているので、撮影が終わるとみんなで食べられるんですよね。『お疲れさまでした』ではなく『ごちそうさまでした』と言って帰っていった役者もいます」と笑う。またこれまで数々の若手女優を見出してきた角川は、松本について「この映画は間違いなく、松本穂香という女優にとって代表作になると思う。そして彼女は、周りの人たちに恵まれていると思います。石坂さん、温子、若村らに、明らかに育ててもらっている感じがしますね。何よりも、本人の資質として、明るくけなげな部分を持っている。それがこの映画に見事に反映されています」と絶賛した。
「みをつくし料理帖」は2020年の秋に全国で公開。
※高田郁の高は、はしごだかが正式表記
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てれびのスキマ/戸部田 誠 @u5u
藤井「角川春樹さんが映画界に乗り出さず、ヒロインたちを見つけなかったら、僕の10代はこんなに色鮮やかではなかったと思う」/「みをつくし料理帖」キャスト発表会見、角川春樹が松本穂香の“けなげな資質”絶賛 - 映画ナタリー https://t.co/oevYmlFiTd