本作は橋の建設が進む山間の村で、何も語らず身寄りのない少女と一緒に暮らし始めたことで人生を狂わせていく船頭・トイチを描く物語。司会者から「オダギリ“監督”お願いします」と挨拶を求められると、オダギリは「監督としてこういう場に立つのは初めてなので、いつもの何倍も緊張しています。どういう反応があるのか期待と不安がありますが、今さらもう直せないので……。いい部分だけを周りの方に伝えていただけたら(笑)」と様子を伺うように観客に伝える。
トイチ役の柄本からは「とにかく撮影現場が過酷だった」という話が。「ちょうど去年の今頃、夏の撮影は本当に大変でした。船にロープを付けてみんなで引っ張ったり。毎日毎日なんでこんなに疲れるんだろうって、改めて台本を読んだらほとんど全シーンに出ている。それで疲れるのかと。暑いし、逃げ場がないし、とにかく過酷でした!」と“過酷”を連発する柄本に、オダギリは苦笑するしかない様子。さらに村上が「控え室では柄本さんといろいろ話しましたけど、現場では過酷すぎて……」とあまり話せなかったことを振り返ると、柄本は「しゃべんないですよ、過酷なんだから!」と嘆いてオダギリを笑わせた。
川島は、撮影で印象的だったことについて「テストがなくてほとんど一発本番。テストで起こる慣れというものがこの現場にはなくて、いつもいい緊張感で挑めました」と明かす。それについて、オダギリは撮影監督のクリストファー・ドイルから影響を受けていると説明。「テストをしないのは、クリスが余計なことをせずどんどんカメラを回したいというタイプだから。川島さんもおっしゃってましたが、テストを重ねると慣れちゃうこともあるし、カメラの動きが合わなければもう一度やればいいだけの話」と監督としての考えを述べる。衣装を担当したワダ・エミについては「日本の宝のような方。家にある貴重な生地を使ってくださいました」と感謝した。
最後に柄本が「最近の映画からは逆行したような映画。でも普遍的でおとぎ話のような作品です。正直こういう映画はヒットしにくいと思いますので、皆さんのお力でなんとか宣伝していただければ」と頼むと、それを受けてオダギリは「今の日本映画を観慣れている方には観づらいかもしれません。でも挑戦したかったのが正直なところでした。今の主流がすべてではないと思うので、どう捉えていただくかは自由ですけど……がんばって観てください」と呼びかける。そして「スクリーンで観やすいように画作りや編集をして、音の配置も細かくやっているので、劇場で観ないとまったくよさが伝わりません。DVDを待とうとかは考えないほうがいいです!」と強くアピールして舞台挨拶を締めた。
「ある船頭の話」は9月13日に東京・新宿武蔵野館ほか全国で公開。
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キム・ギドクの「弓」みたいな話を想像しているんだけど…さて、初監督作はどうなることやら。
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