公開決定に関して、配給を行うキノフィルムズの代表取締役社長であり、本作のプロデュースを手がける武部由実子がコメントを発表。公開を待ち望む声が多く寄せられた一方で「公開などすべきではない」という意見もあったことを明かし、「仮に本作品が今回の事件を想起させるものであれば検討の余地もありませんが、そうでないならば公開するという判断もあり得るのではないか。このように自問自答した結果の決断として、様々なご意見やご批判があるのは承知のうえ『事件と作品は別』という観点から公開に踏み切ることに決めました」とつづっている。
武部由実子 コメント
平素より大変お世話になっております。
この度、私どもキノフィルムズでは、映画「台風家族」を9月6日(金)から26日(木)まで、3週間限定とはなりますが劇場にて上映をさせて頂くことを決定致しました。
皆様におかれましてもご存じの通り、出演者の1人である新井浩文氏が今年の2月に逮捕・起訴されたことを受け、弊社は6月公開予定であった本作の上映延期を決めました。延期を発表するやいなや、業界関係者の方々、俳優を生業にされている方々、そして多くのお客様から、「いつか公開される日を待っています。必ず公開してください」という多数のお声を頂いて参りました。またその一方で「公開などすべきではない」という厳しいご意見も多数頂戴致しました。
そんな中、市井監督がご夫婦で共著された原作小説となる「台風家族」が5月下旬に発売されたあたりから、より具体的な形で上映を望む声が弊社に集まって参りました。
それは、ツイッターから始まり、上映を希望する投稿や賛同の拡散が数えきれないほど起こり、イラストも書き添えられた手書きのハガキやお手紙が連日、何通も届くようになりました。どれもこれも、本作の上映を切に願うものであり、その全てに目を通させて頂きました。本当に有難く、胸が熱くなりました。これだけ多くの方々が「台風家族」の上映を希望されており、励みになればと、様々な形で想いをしたためてくださっている。この現実に、製作者である自分が何もアクションを起こさなくていいものなのか。仮に本作品が今回の事件を想起させるものであれば検討の余地もありませんが、そうでないならば公開するという判断もあり得るのではないか。このように自問自答した結果の決断として、様々なご意見やご批判があるのは承知のうえ「事件と作品は別」という観点から公開に踏み切ることに決めました。
上映に際しては、本作のプロデューサーとして、スタッフとキャストが積み上げフィルムに焼き付けた“一瞬、一瞬という時間”を大切にしたい、そして、それは二度と取り戻せない時間でもある、という想いから、本編の再編集は行わず、そのまま上映をさせて頂く事に致しました。
勿論、我々のこの決断については様々なご意見もあるかとは存じますが、公開までの約1カ月における映画の告知に際しては、細心の注意を払って参ります。
なお、今回の公開時期・期間につきましては、一部で報道されております新井氏の公判日程とは一切関係がなく決められたものであることを念のため付言させて頂きます。
また、今回の我々の決断に対し、多数の劇場様より上映へのご協力を頂ける事となりました。本当に感謝しております。この場を借りて心より御礼を申し上げます。有難うございました。
以上、映画「台風家族」上映決定の経緯と決意を、書面をもちまして発表させて頂きます。
関連記事
草なぎ剛の映画作品
関連商品
リンク
- 「台風家族」公式サイト
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
杉本穂高@初書籍「映像表現革命時代の映画論」発売中!! @Hotakasugi
新井浩文出てるから延期になってたやつか。-「台風家族」9月に3週間限定上映、配給元がコメント「事件と作品は別」(コメントあり) - 映画ナタリー https://t.co/0EAiO4KURq