フランス映画祭2019 横浜にて、「
クリストフ・デュフォセの小説をもとにした本作は、ある名門中学で教師が身投げしたことをきっかけに始まる学園ミステリーホラー。新たな担任として赴任したピエールが、事件にも無関心で気まぐれな生徒6人に翻弄されるさまを描く。
2002年にこの原作を読んだというマルニエは「いろいろなジャンルが混ざっている点に惹かれました。最初は教育問題を語っているのかと思ったら、スリラー要素もあり、スティーヴン・キングを思わせるプロットもあり、最後はサスペンスホラー調。当時はまだ25歳で実績もなかったので映画化したくても実現できませんでしたが、キャロリーヌと出会って15年後に夢が叶いました」と思い入れを語る。サイコスリラー「欲しがる女」でもマルニエとタッグを組んでいたボンマルシャンは「私自身は原作を読んでいなかったんですが、ちょうどその頃、近いストーリーの本を映画化したいと思っていたので、彼からテーマを聞いて非常に面白いと感じました」と企画当初を振り返った。
脚本執筆にあたり原作を読み返すことはなかったマルニエは「初めて読んだときの記憶を大切に、脚本を書き直したかった。なぜ映画化したい気持ちを15年も持ち続けていたかを考えながら書きました。15年経って社会も変わったので、新しい世界に合わせたかったんです」と説明する。ボンマルシャンは本作のポイントを「これまで『光る眼』や『白いリボン』などでも描かれた、思春期の子供が持つ恐れを取り上げています」と要約した。
観客の不安を煽るようなさまざまなメタファーに関してマルニエは「必ずしも原作にあるものではありません。いろんなジャンルを混ぜても許される作品なので、アートディレクションやカメラワークは自由に、奇妙な雰囲気を出すものにしました」とこだわりを明かす。劇中で子供たちがパティ・スミスの曲を合唱しているのもマルニエのアイデアだそうで「普段の学校生活で、子供たちはなかなか感情を外に出せない。でも音楽の授業においては、芸術を通して感情を出せる、ということを表現したかった」とのこと。またラストシーンも原作とは大きく異なることから「今回は形を変え、大惨事の中でも子供と大人がようやくわかり合えるという表現にしました」と話した。
さらにマルニエは、終末的な雰囲気はラース・フォン・トリアーの「メランコリア」やジェフ・ニコルズの「テイク・シェルター」を意識したと告白。生徒アポリーヌ役のルアナ・バイラミは、ゾンビのような動きをするシーンもあったことから「彼女と初めて会ったときから、日本映画に出てくる幽霊のような雰囲気を感じました。ゾンビの部分では、黒沢清監督の『回路』『クリーピー 偽りの隣人』に近付けるように撮影しました」とマルニエは語った。
フランス映画祭2019 横浜は本日6月23日まで開催中。なお「スクールズ・アウト」は、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019」の作品として、10月に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、愛知・シネマスコーレ、大阪のシネ・リーブル梅田で上映される。
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