フランス映画祭2019 横浜にて、「
「ウルフズ・コール」は、“黄金の耳”と呼ばれる人並み外れた聴覚を持つ、フランス海軍潜水艦分析官・シャンテレッドの物語。彼が謎のソナー音“狼の歌”を持つ船艇に翻弄されるさまや、その船艇からフランスに向け核ミサイルが発射されるという一大事を描き出す。
外交官出身のボードリーは本作で初めて長編監督を務め、脚本も執筆した。潜水艦が舞台の政治スリラーという、フランス映画には珍しい題材を選んだ理由について、ボードリーは「潜水艦での生活を実際に知る機会があって、これは映画化しなければと思いました」と説明。その際の思い出を「潜水艦に乗ってすぐに『これは音の世界だ』と感じました。その後、乗組員の中でもっとも重要視されているのがある若い男性だと気付いたんです。その人こそまさに“黄金の耳”を持つ人物でした。彼は私に聞こえないものを聞いているわけですから、映画のストーリーにぴったりだと思いました」と回想した。
メインキャスト4人についてボードリーは「大切だったのは、4人の個性が異なっていること。それでも4人集まると、家族や友人のような信頼関係が生まれるということ」とこだわりを述べる。シヴィルは共演者3名の個性を「オマール・シーは人がよくて、彼が来るたびにエネルギーをもらいました。マチュー・カソヴィッツは神経質そうなところがあって、それが少し動物っぽかった。そしてレダ・カテブはすごく穏やかで、いつもいいアイデアをくれました」と説明したうえで「尊敬している俳優たちと一緒にやるときは不安がつきものだけど、撮影に入ったとたん平等になった。潜水艦の乗組員たちも、一度ミッションに入るとヒエラルキーをなくして、全員が責任を持って動くんです。今回の俳優陣もその通りでした」と現場を振り返った。
最後にボードリーは「核問題だけじゃなく、人類が地球を脅かすようなことをしているのだと告発する作品にしたかった。地球を救うのはシステムやテクノロシーではなく、やはり人間同士の結びつきや信頼関係。それがこの映画の核心であり、僕が描きたかったのは4人の男たちの絆なんです」と力を込める。さらに自身の監督としての出自にも触れ「外交官だったのは15年間ほど。その経験が作品作りに役立ちもするけど、おかげで監督デビューが遅くなってしまいました。これから巻き返すために、たくさん映画を作りたいです」と意気込んだ。
フランス映画祭2019 横浜は本日6月23日まで開催中。
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