行定勲や白石和彌のもとで助監督として研鑽を積んだ工藤将亮と、ミュージシャンとしても活動する古舘がタッグを組んだ本作。主人公は、音楽の道を半ばあきらめかけている佑樹だ。周囲のすべてにいらだちを募らせる彼は、ある日作曲家の美智子と、彼女の息子で広汎性発達障害のある健吾に出会う。この親子と深く関わることになった佑樹は、強い信念を持つ美智子に影響を受け、徐々に変化していく。
本作は音楽と映画の祭典・MOOSIC LABの1本として生まれ、2017年に長編部門の男優賞を獲得。プチョン国際ファンタスティック映画祭2018では、NETPAC賞(最優秀アジア賞)を受賞した。
古舘は撮影当時を「渋谷TOWER RECORDS、下北沢City Coutry City。未だにふと前を通り過ぎるたびに足を止め、思い出す。あの暑い熱い日々。工藤監督と必死に汗を掻きながら“クレイジー”を探した一夏」と述懐。そして「結局、狂ってる奴は誰なんだっけ? 俺だっけ、俺以外だっけ? 監督は、キスシーンなんか台本になかったのに俺に内緒で仕込んでいたり、終始暴れ回ったり叫んでたりした。東京の隅っこで世界に牙を剥いていた。そんな工藤監督に恐怖よりも愛おしさを覚えるのは、俺も狂ってるからなのか? 観たら教えて下さいネ。カルチャー大好き根暗男2人が居酒屋で出会ったのがきっかけで生まれた映画。それが『アイムクレイジー』」と語っている。桜井、曽我部、工藤のコメントは下記に掲載した。
桜井ユキ コメント
主人公を通して発せられる無気力なエネルギーが、全編を通して引っ張っていってくれる作品だと思っています。毎日同じような繰り返しの何気ない日々がいかに大事で、そんな中でもいつ何がきっかけとなり、変化を起こしていくかわからない、わたし自身もそんな事に気づかされる作品でした。工藤監督が作品にぶつけた思いがたくさんの方に届くと嬉しいです。
曽我部恵一 コメント
かわいくて、力強い、なんだか若々しい映画だと思います。初めて俳優として映画に出ました。それがこの作品でよかったです。
工藤将亮 コメント
失敗の連続で悔しいことだらけの撮影だったのが思い出されます。そんな中でも、ずっとチャレンジしたかった撮影手法があり、そのカットを撮れた時の喜びは忘れられない。どんな撮影手法かというと、出演する俳優たちが街中の一般の方々がいる空間の中でお芝居して、それを僕らが望遠で撮影する。撮影時はそれを勝手に雑観(造語)と呼んでいたのですが、それがうまく撮影できた時は自信につながりました。なんだか大したことがないように聞こえるかもしれないですが、俳優さんたちが街のど真ん中で普通の人に紛れて演じるのはとても難しいことです、それに答えてくれた俳優・スタッフたちに感謝いたします。すべてのダメ人間、自分に自信がない人、社会にうまく順応できない人たちに捧げるために作りました。画一的な社会をぶっ壊したいそんな気持ちです。
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古舘佑太郎の映画作品
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- 「アイムクレイジー」公式サイト
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