三池崇史の「初恋」カンヌで世界初上映、“ありがちなタイトル”を付けた理由とは

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窪田正孝の主演作「初恋」のワールドプレミアが、第72回カンヌ国際映画祭にてフランス現地時間5月17日に開催され、監督の三池崇史とキャストの小西桜子がティーチインに登壇した。

ティーチインに登壇した小西桜子(左)、三池崇史(右)。(c)Kazuko Wakayama

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「初恋」キャラクタービジュアル

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同映画祭の監督週間に選出された本作は、窪田演じるプロボクサー・葛城レオが負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫し、アンダーグラウンドの世界に足を踏み入れていく物語。

ティーチインに登壇した三池崇史。(c)Kazuko Wakayama

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ワールドプレミアの800席は満席となり、上映後に三池と小西が登壇すると大きな拍手が起こった。カンヌには2年ぶり7回目、監督週間には4年ぶり3回目の選出となった三池は、「なぜありがちなタイトルを付けたのですか?」という質問に「ありがちな映画を作りたかっただけです(笑)」と答える。窪田、大森南朋、染谷将太、内野聖陽といった本作のキャストについて質問されると、三池は「(出演者は)みんな主役を張れる俳優たち。ですがそういった俳優たちは、人気がある故に、みんなが共感するような役をやることが多い。自分がやりたい役ができないことや、やりたいように自由に演じられないことがある。そんなフラストレーションをこの作品で爆発してもらったので、演出はあまりせず、気持ちをそのままぶつけてもらいました」と説明した。

ティーチインで感極まってしまう小西桜子。(c)Kazuko Wakayama

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重要な役どころであるモニカ役をオーディションで射止めた小西について、三池は「モニカにリアリティを持たせるためには、見たことのない女性がどうしても必要でした。だから3000人の中から選んだわけですが、オーディションで会って『いたな』って感じでしたね。演技経験はなくても、それはそれで魅力が出ると思って選びました」と解説。そして小西は「映画の出演はこの作品がほとんど初めてで、皆さんにたくさん助けていただきました。演技テクニックうんぬんではなくて、自分のまっさらな状態を引き出していただいたので、当時の私にしか出せないものが出せてたと思います。本当に光栄です」と話し、客席からの温かい拍手に思わず感極まってしまう。

ティーチインに登壇した小西桜子(左)、三池崇史(右)。(c)Kazuko Wakayama

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続いて三池は、窪田を主演に選んだ理由を「まず、いいやつなんだよね(笑)。10年前に彼をオーディションで選んで、今や日本では若手のスターになった。それから10年経った彼が、今度は新人を支える。それが彼の運命なのかなと思いました」と語る。「この作品を監督しているとき、同時に何本進行していましたか?」という質問に笑いが起こると、三池も「いやいや、この作品に集中していました(笑)。でも、撮影中に役者たちといろいろ話している中で構想も生まれてきたので、密かに進めているものは何本もあった、と言えるかもしれない」と笑った。

ティーチインに登壇した小西桜子。(c)Kazuko Wakayama

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ティーチイン終了後、2人は囲み取材に参加。観客の反応について三池は「予想以上の反応をいただけてよかったです。上映中、笑いが起きていましたが、役者の演技やそれぞれのキャラクターが届いてるということだと思う。日本とカンヌでは、観客の受け取り方が多少ずれているかもしれないけど、それはそれで面白い」と感想を語る。さらに小西が「日本の方々でさえ私のことを知らない中、カンヌの人々ももちろん私のことを知らないのに、上映後にあんなにたくさんの方が温かく拍手をしてくださって本当にうれしかったです。壇上に立たせていただいて、ただただ光栄という気持ちでした」と再び号泣すると、三池は「俺にもこういう時代があった!」とリアクションした。

フランス現地時間5月15日実施の会見には参加したものの、この日は登壇が叶わなかった窪田へ報告したいこととして、三池は「先日初めて作品を観終わったあと、役者たちと酒を飲んでいるとき、みんなが興奮していたんだけど、カンヌの反応も同じだったよと伝えたいですね」とコメント。最後に三池は、本作がオリジナルストーリーであることに触れ「オリジナルを作れる環境はいいことだと思います。でもオリジナルでなければならないということではない。それも必要かもしれないが、それが目的ではない。それよりも、人生短いし、自分を解放していろんなものを撮ってまた吸収していきたいです」と話した。

「初恋」は2020年に全国で公開。

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(c)2020「初恋」製作委員会

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